プレスリリース

プレスリリーストップへ

最新記事を検索

プレキャスト床版の接合工法「スリムファスナーTM」を開発

床版取替工事における床版接合時間を最大50%短縮し、接合部の高耐久性も実現します

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、常温硬化型の超高強度繊維補強コンクリートとして開発したスリムクリート(※1)をプレキャスト床版の接合に用いることで、床版取替工事の大幅な短工期化と接合部の高耐久性を実現する、スリムファスナーを開発しました。

 

スリムファスナーの概要

スリムファスナーの概要

 

近年、高速道路の老朽化に伴い、全国で道路橋のリニューアル工事が進められています。リニューアル工事で床版を取り替える際には車の通行を規制する必要があり、工事をできるだけ短工期で完了させるため、あらかじめ工場で製作されたプレキャスト床版を使うことが一般的です。

 

現場に搬入され鋼主桁の上に設置された隣接するプレキャスト床版は、床版の両側から突き出た鉄筋を所定の長さで重ね、補強用の鉄筋を配置し、その部分に高強度コンクリートを打ち込むことで接合されます。現場においては、接合部を補強するための配筋作業と、コンクリートを打ち込むための型枠や支保工の組み立て・解体作業に多くの手間がかかり、また、耐久性確保のために接合部内の鉄筋に防錆(ぼうせい)効果のあるエポキシ被覆を施す必要もありました。

 

床版取替工事におけるプレキャスト床版の架設手順

床版取替工事におけるプレキャスト床版の架設手順

 

今回大林組が開発したスリムファスナーでは、プレキャスト床版の接合に高強度コンクリートの代わりに超高強度繊維補強コンクリートであるスリムクリートを使用することにより、床版から突き出た鉄筋の長さを短くでき、接合部の幅を従来の半分に狭められるので、コンクリートの打設量を低減できます。

 

さらに、接合部を補強するための鉄筋が不要となるうえ、接合部の幅が狭くなるためその下面に必要であった支保工も不要になります。また、スリムクリートは緻密な材料でもあるため、コンクリート内部に腐食因子が侵入しにくく、鉄筋の防錆加工も不要になります。

 

スリムファスナーの特長は以下のとおりです。

 

  1. 現場作業の削減による大幅な工期短縮

    本工法では、隣接するプレキャスト床版の接合に超高強度繊維補強コンクリートであるスリムクリートを使用します。従来工法の接合部では鉄筋を所定の長さで重ね合わせ、現場で補強用の鉄筋を追加し、床版の下面に型枠、支保工を設置し高強度コンクリートを打ち込んでいました。

    本工法の接合に使用するスリムクリートは超高強度繊維補強コンクリートであることから、鉄筋との付着強度が高く、隣接する床版から突出した鉄筋を重ね合わせる必要がありません。鉄筋を短くでき、超高強度と鋼繊維の効果により補強用の鉄筋も不要となります。接合部の幅が従来の半分になることから、コンクリートの打設量も半分に減らせるうえ、重量の減少に伴い型枠の支保工も不要となります。本工法では、プレキャスト床版の接合部に軽量な埋設型枠(※2)をあらかじめ工場で取り付けておくことで、従来現場で実施していた、床版接合部の下面における型枠、支保工の組み立て・解体作業をすべて不要としました。

    これらにより、従来工法と同等のコストで床版の接合にかかる作業時間を最大で従来の50%に短縮し、床版取替工事の大幅な短工期化を実現します。

    プレキャスト床版 接合工法の比較

    プレキャスト床版 接合工法の比較

  2. 厳しい環境条件でも長期使用が可能

    一般的なコンクリートの設計耐用年数は50年程度ですが、スリムクリートの設計耐用年数は土木学会の技術評価において100年と認定されており、ひび割れが発生しにくく、プレキャスト床版との接着強度が高い材料です。また、本工法においてはプレキャスト床版の接合境界面をマルチせん断キーという特殊な凹凸形状にすることで、境界面のせん断耐力と接着効果を向上させています。

    長期疲労耐久性を確認するための試験では、100年相当の繰り返し荷重に対しても接合部にひび割れなどは認められず、プレキャスト床版の接着が保持されることを確認しました。材料自体が緻密で中性化や塩害に対する抵抗性も高いことから、内部の鉄筋に対するエポキシ被覆などの防錆加工が不要で、厳しい環境条件でも長期使用を可能とします。

スリムファスナーは高速道路などの床版取替工事に限らず、急速施工が必要とされる新設橋やシールドトンネルにおける道路、鉄道の床版にも適用が可能です。大林組は、本工法をさまざまな工事に積極的に適用するとともに、床版以外の部材についてもプレキャスト化を推進し、さらなる生産性の向上や短工期化を実現していきます。

 

なお、本工法は大林組の米国子会社であるクレマー社との技術交流により開発された技術です。大林組は、今後もグループ会社の技術力を結集して、相乗効果による革新的な技術の創造をめざします。

 

※1 スリムクリート
超高強度モルタルに超高強度鋼繊維を混入した常温硬化型の超高強度繊維補強コンクリート材料。超高強度であることに加え耐久性も高い。一般的な超高強度繊維補強コンクリートは、所定の性能を発揮するために熱養生設備の整った工場で製造されるが、スリムクリートは通常の養生で所定の性能を発揮するため建設現場での打ち込みが可能。スリムクリート第18回国土技術開発賞最優秀賞2016年度土木学会技術開発賞を受賞している

※2 埋設型枠
コンクリートを打ち込んだ後、解体しない型枠。構造物の一部となる

以上

 

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

 

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。