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2017.02.08

明石駅前南地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築等工事

港町・明石に新たなにぎわいをつくる
明石駅前南地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築等工事
港町・明石に新たなにぎわいをつくる

 

赤枠が今回の施工範囲。黄色部分は市街地の中心となる「魚(うお)の棚商店街」

赤枠が今回の施工範囲。黄色部分は市街地の中心となる「魚(うお)の棚商店街」

神戸市内から電車で明石駅に近づくと、ひときわ大きな建物が見えてくる。大林組は、この超高層ビルの建設などを含む明石駅前の再開発事業を、事業者と施工者、両方の立場で進めている。

商業店舗と図書館などが入る施設棟や34階建ての住宅棟を建設するとともに、駅前広場の再整備、周辺地域との回遊性を確保する歩行者デッキなどの新設を通して、街の活性化をめざしている。

駅から港へ、人の流れをつくり出す
四国への玄関口は明石港から明石海峡大橋へと変わった

四国への玄関口は明石港から明石海峡大橋へと変わった

明石港で獲れた新鮮な魚介が並ぶ明石の台所「魚の棚商店街」

明石港で獲れた新鮮な魚介が並ぶ明石の台所「魚の棚商店街」

四国から瀬戸内海の淡路島を経て、本州を結ぶ海上交通の要所として栄えた明石の街。かつては明石港周辺に店舗が軒を連ねていたが、明石海峡大橋の開通によって海上交通利用者が大幅に減少した。これに伴い、駅前の大型商業店舗が撤退するなど、駅周辺には空き店舗が増えた。

この状況を打開するため、明石市は「魚(うお)の棚商店街」を中心とする駅から港にかけての市街地に、人の流れをつくり出す計画を策定した。その中核となるのが「明石駅前南地区第一種市街地再開発事業」だ。

今回の事業では、民間事業者が再開発組合の設立から事業の推進、完了までを実施する業務代行方式が採用されており、大林組は施工も含めて担う「特定業務代行者」に選定されている。

大林組は、再開発組合を支援する形で、事業者が行う発注などのさまざまな業務を代行している。さらに、事業が円滑に進むよう、完成後の建物維持管理のルール作りや各権利者との連絡などの事務局業務も担っている。

明石駅前南地区第一種市街地再開発事業(配置図)と再開発地区を起点とする新たな人の流れ

明石駅前南地区第一種市街地再開発事業(配置図)と再開発地区を起点とする新たな人の流れ。文化や生活スタイルの発信地となる施設棟には、市役所窓口や子育て支援施設、公共広場を設け、安全・快適性を追求した住宅棟には、超高層制振構造システム「デュアル・フレーム・システム」を採用している

解体工事と文化財調査を同時に進める
埋蔵文化財調査の出土品は起工式で展示された

埋蔵文化財調査の出土品は起工式で展示された

施工を担うのは、大林組明石駅前再開発工事事務所だ。工事の難しさは、解体工事と埋蔵文化財調査が、約4年の施設建設工事の期間内に含まれることだ。

解体工事は駅前に並んだ大小の建物27棟を対象とした大規模なものだった。また、埋蔵文化財調査は計画区域が明石城武家屋敷跡に当たるため、実施する必要があった。新築工事に遅れが生じないよう、所長の境谷は建物の解体順序を工夫し、解体工事と埋蔵文化財調査を並行することで、早期着工を果たした。

駅利用者と中心市街地を結ぶ仕組み

今回の事業の狙いの一つは、駅から南に広がる「魚の棚商店街」などの中心市街地へ、人の流れをつくり出すことだ。そのために、駅前広場の再整備と駅から続く歩行者デッキの新設、さらには、商業施設に24時間通行可能な自由通路を設置した。

既設歩道橋の通路部分撤去工事は1時間で完了

既設歩道橋の通路部分撤去工事は1時間で完了

施設棟から「魚の棚商店街」を結ぶ歩道橋の架け替え工事では、通行量が多い国道に架かる既設歩道橋をいかに安全かつ迅速に撤去するかがポイントとなる。

事前準備として行ったのは、当日の撤去作業を素早く行えるよう、通路部分を支えているボルトを支持可能な数までに減らしておくことだった。

ただしその場合、一本のボルトが受ける歩道橋の荷重が増え、経年劣化した既設ボルトの破損などにより歩道橋が落下する危険性があった。そこで歩道橋のボルトをすべて新しいものに付け替えることも実施した。このような準備により、撤去工事を限られた時間内で完了させることができたのだ。

施設棟2階部分から「魚の棚商店街」入口へとつながる新たな歩行者用デッキ

施設棟2階部分(左)から「魚の棚商店街」入口へとつながる新たな歩行者用デッキ

完成への期待を地域と共に
工事事務所の社員による手作りのクリスマスイルミネーション

工事事務所の社員による手作りのクリスマスイルミネーション

工事事務所は、再開発組合と連携を図りながら地域のニーズに応えてきた。解体工事に伴う店舗の移転で建物の灯りが消えた駅前に、少しでも明るさを取り戻したいと願う明石市からの要請に、副所長の中嶋は色とりどりのカラーコーンを使用したクリスマスのイルミネーションを提案した。

また、施工期間中から地域に注目される建物になってほしいという思いから、魚介類が有名な明石にちなんで、施工で使用するクレーンに「たこ」「たい」などの絵を取り付けた。狙い通り、テレビで取り上げられ、再開発組合が開催する現場見学会には、明石市民からの申し込みが増えてきた。休日返上で対応する副所長の岸本と中嶋は「見学会を通じて、この事業への関心の高さと期待を感じる」と話す。

にぎわいの拠点づくりへの思い

所長の境谷は、工事着工前に施工する街を必ず10回以上歩く。街全体を把握し、現場周辺を含めた道路事情を知ることで、工事車両の動線や高速道路までの経路などを確認。住民の依頼にすぐ対応できるように、迂回(うかい)路マップも作成する。

「大林組が造ったこの建物が明石の街の拠点となり、中心市街地のみならず明石市全体の活性化につながってほしい」と所長 境谷は思いを語る。かつてのにぎわいを取り戻す明石の新しい玄関口の完成は間近だ。

明石駅前南地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築等工事

 

大林組と共に、明石の将来を担う事業に取り組む

明石駅前南地区市街地再開発組合 

喜田耕史理事長

私が明石市都市整備部に勤務していた頃から関わっている事業です。私の仕事の集大成との思いから、今までの経験を注ぎ込み取り組んでいます。計画期間内で成し遂げられるのも、大林組が特定業務代行者としてこの事業を共に推進してくれているからで、国も地方創生のモデルとして大きな期待を寄せています。

市長交代に伴う行政サービス施設の用途の再検討により、事業が一時中断することなどもありましたが、大林組の皆さんの団結力と、「この事業をやり遂げないといけない」という強い気持ちが原動力となり、危機を乗り越えられたと思います。これからも明石の発展に大林組が携わってくれればと願います。

(取材2016年6月)

●工事概要

名称:明石駅前南地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築等工事

場所:兵庫県明石市

発注:明石駅前南地区市街地再開発組合

設計:東畑建築事務所・大林組設計共同企業体

概要:(住宅棟)RC造一部S造、B1、34F、PH2F、制振構造、延2万7,991m² (施設棟)RC造・SRC造・S造、B2、6F、PH1F、延3万7,857m²

工期: 2013年10月~2017年3月(商業ゾーンのみ2016年11月)

施工:大林組