調達先との信頼関係の強化(調達先)

調達先と公正な取り引きを行うとともに、
成長発展するパートナーとして信頼関係の強化に努めています。

CSR調達の推進

企業の社会的責任を果たすためには、サプライチェーン全体での取り組みが不可欠と考えています。国内はもとより海外の取引先に対しても大林組基本理念やCSRの考え方などを理解していただき、人権、安全衛生、環境、品質、社会貢献などのテーマに共に取り組みを進めることをめざしています。

大林グループCSR調達方針

大林グループは、大林組基本理念に基づき企業の社会的使命を果たす取り組みの一環として、2011年6月にCSR調達ガイドラインを制定し、協力会社など広く当社事業に関連する調達先とともにCSR調達を推進してきました。
このガイドラインを、社会からのさまざまな要請を踏まえてより具体的な項目を取り入れ、2020年3月にCSR調達方針として改訂しました。主要な項目は調達先と締結する契約約款に定めており、契約時に確認をしています。
大林グループは、同調達方針の改訂を協力会社に周知するとともに、浸透状況の調査を継続し、事業に関係するすべての製品・サービスにおける調達先とともに成長発展に向けて、サプライチェーンマネジメントを行っています。

教育・研修の実施

大林グループでは、ESG重要課題に掲げる「責任あるサプライチェーンマネジメントの推進」に必要不可欠な「CSR調達」について、グループ全体で共有し浸透を図ることを目的に、毎年度研修を実施しています。

これまでの教育・研修内容

実施時期 研修内容 対象
2021年12月 CSR調達全般に関するeラーニング 大林組、国内グループ会社の全社員
2021年12月 外部講師によるサプライチェーンマネジメント講習 大林組および国内グループ会社の調達業務従事者
2022年12月 主に外国人技能実習生をテーマとした人権に関するeラーニング 大林組、国内グループ会社の全社員

CSR調達ガイドラインに関するアンケートの実施

大林グループCSR調達ガイドラインのサプライチェーン全体への周知・浸透と、その遵守状況を確認するアンケートを毎年度実施しています。2022年度は、大林組林友会加盟企業および継続的に取引のある企業を加えた約1,450社を対象に実施しました(回収率89.0%)。今後、アンケート結果を踏まえ、CSR調達の取り組み推進に向けた意見交換を実施していきます。

国内調達額に占めるアンケート回答企業からの調達額の割合

トレーサビリティ調査

サプライチェーンにおける人権侵害や環境破壊などに対する社会的関心が高まっていることを受け、2021年から、建設工事で使用する資材のうち、人権リスクが高いとされる海外調達木材および太陽光パネル部材に関して、トレーサビリティ調査を実施しました。調査結果から、おおむねそれぞれのトレーサビリティは確保されており、現時点で人権侵害や環境破壊に対するリスクの顕在化は認められませんでしたが、今後も調査を継続することで現況把握を行うとともに、サプライチェーンへのCSR調達ガイドラインの理解向上を図っていきます。

外国人技能実習生受入状況に関する調査

外国人技能実習生に対する人権侵害が大きな社会問題として注目されていることを受け、2022年度に自社で外国人技能実習生を雇用している取引先に対して、受入状況のアンケートを実施しました。さらに、アンケート結果を踏まえ、5社に対してヒアリングや意見交換を実施しました。

調査結果から、明確な人権侵害に該当する事象は認められませんでしたが、改善すべき点も見受けられました。今後も継続的な調査と改善指導を行ってまいります。

海外事業所・グループ会社における人権尊重の取り組みに関する現状調査

海外事業における人権尊重の取り組みを進めるべく、2022年度に海外事業所および海外グループ会社を対象に、人権尊重の取り組みに関するアンケートを実施しました。

アンケートにおいては、人権に関する研修・教育実施の有無、外国人社員や建設現場に従事する外国人作業員に対する言語配慮の有無などについて確認しました。

調査の結果、すべての事業所・グループ会社で定期的に研修・教育を実施しており、サプライヤーに実施している拠点もありました。また、外国人社員が理解できる言語でコミュニケーションをとっており、建設現場においても安全看板や注意事項などを外国人作業員が理解できる言語に翻訳して掲示・説明するなど、配慮がなされていることも確認できました。

調査対象:アジア支店およびその管轄事業所・グループ会社、北米支店およびその管轄事業所・グループ会社、開発事業本部管轄のグループ会社(全19拠点)

協力会社エンゲージメント

毎年、品質や安全、環境などに加え、働き方改革や生産性向上、担い手確保など幅広いテーマについて、大林組林友会に加盟する企業と意見交換を実施しています。意見交換で出た意見や好事例は、全社に展開のうえ、その後の取り組みに活かしています。また、半年に1度、「品質」「安全」「環境」など7項目を評価項目として、協力会社を5段階で評価しています。評価結果は各社に個別に通知し、面談などを通じて改善指導を行うとともに、優良な協力会社には表彰を行っています。

エンゲージメントを通じて、協力会社のCSR調達の意識向上を図るとともに、良好なパートナーシップを構築していきます。

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大林組林友会

全国の調達先で組織する「大林組林友会」には、さまざまな工種・業種の企業約1,100社が加盟しています。大林組は、加盟企業の健全性について定期的なモニタリングを行っています。加盟企業は、定期的に連絡会を開催し、安全に関する法令の改正や、法定福利費の取り扱い、また近年増加している外国人技能実習生受け入れについての対応などの情報共有を図っています。大林組は大林組林友会を重要なステークホルダーとして位置付け、ヒアリングなども行いコミュニケーションの促進を図り、信頼関係を築いています。

国内調達額に占める大林組林友会加盟会社からの調達額割合

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教育・研修会などの支援

安全体感研修の様子

大林組は、安全パトロールや安全衛生教育など、安全衛生の向上に向けた活動を調達先と一体となって取り組んでいます。また、調達先の安全衛生管理能力の向上をめざし、管理体制の整備や充実に向けた支援を行っています。
調達先に対し安全衛生、品質、法令遵守などに関する情報提供を行うとともに、研修会などへ社員を講師として派遣するなど、各種支援も行っています。

また、各工事事務所では、調達先から成る「職長会」が組織されています。職長会では、安全に関する事項はもとより、職場環境の改善につながる要望などが議論され、その内容は大林組に申し入れられ、改善について協議されています。
そのほか、調達先の社員が、大林グループ企業倫理相談・通報制度を利用して通報できる制度を設けています。現場などにおいて大林グループ会社社員による強制労働や児童労働、法令違反につながる不正行為などが万が一発生している疑いがある場合、匿名で大林グループの通報窓口(社内・社外)へ通報できる制度です。本制度において、通報者および通報者の会社が不当な取り扱いを受けることのないよう管理体制を整備しています。

「事業と技能のあとつぎ支援センター」の開設

建設業では、技能労働者の高齢化や後継経営者不在により、専門工事会社の事業継続が課題となっています。大林組の重要なステークホルダーである大林組林友会加盟会社においても同様の悩みを抱えており、これらの経営上の課題を解決・支援するため、2023年4月に「事業と技能のあとつぎ支援センター」を開設しました。

本センターでは、相談窓口を設置し、事業承継(M&A、社内後継者育成)、人材採用、人材育成、人材定着、IT活用などに関する各社からの相談を受け付け、専門コンサルタントによる個別支援を実施します。そのほか、経営者や社員を対象とした研修会の開催、eラーニングの配信などにより教育機会を提供していきます。

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建設技能者の人材確保と育成

近年、建設業では、就業者の高齢化や若年入職者の減少などにより、建設技能者の人材不足という問題に直面しています。この問題を解消するため、社会保険加入促進や、重層下請構造の改善などの問題も含め、建設技能者の育成と人材確保に取り組んでいます。また、大林組は日本建設業連合会(日建連)の「労務費見積り尊重宣言」にのっとり、国が定めた労務費単価を参考に協力会社との契約金額を定め、法定福利費を含めた適正な賃金の支払につながるよう指導を行っています。

大林組林友会教育訓練校

仮設足場の組み立て訓練の様子
VR技術を用いた玉掛け作業トレーニングの様子

建設技能者の育成と次世代への技能伝承を目的に、2014年に教育訓練校(※1)を開校しました。とび工・鉄筋工・型枠工の3コースを設けており、大林組や調達先の社員が講師を務めています。訓練生は約1.5ヵ月間にわたり、施工や安全管理、CADなど、建設現場で必要となる知識・技能を習得します。また、CADに特化した短期コースも設けられており、修了生は全国各地の建設現場で活躍しています。2023年3月からは、同校内に「O-DXルーム」を新設し、VR(Virtual Reality:仮想現実)技術を活用した玉掛け作業(※2)の教育を開始しました。

定められた認定を受けた修了者が大林組の建設現場に従事した場合、修了生と協力会社双方に奨励金や報奨金を付与するインセンティブ制度も設け、キャリア形成支援と賃金の向上を図っています。

※1 厚生労働省の制度を活用した職業訓練実施広域団体。大林組林友会教育訓練校は東京都からの認定を受けている

※2 荷物をクレーンで吊り上げる際、クレーンと荷物を緊結する作業のこと

多能工化への取り組み

大林組では、建設技能者不足の解消や業務の省力化・効率化、さらには協力会社の経営安定化を目的として多能工・準多能工の育成に取り組んでいます。

とび・鉄筋・型枠業者による「躯体屋JV」を組成し、大林組OBによる指導を受け、工種間で相互に実技指導を行いながら工事を進めるなど、勉強会開催や建設現場での実務研修を進めています。また、協力会社の職長クラスの人材を大林組の建設現場へ出向させ、現場施工管理業務を経験してもらうことで、多能工組織の管理者育成にも注力しています。

今後も、多能工の工種幅の拡大や全店展開を視野に取り組みを進めていきます。

多能工化に向けた工種間での相互実技指導イメージ

(左)相互実技指導、(右)大林組OBによる指導

スーパー職長(※2)、スーパーオペレーター(※3)制度

建設技能者を束ねる職長の中から特に優秀な職長を認定し、一定額の手当を上積みして支給する制度です。
2016年度には、40歳未満の若手職員を対象にしたジュニアクラスを新設するとともに、優秀なクレーンオペレーターへの認定を開始しました。
スーパー職長としての自覚を促し意識の高揚を図り職長同士の繋がりを強化する目的で、定期的にスーパー職長交流会を開催しています。
交流会では安全に関する講話、工事事務所長からの期待や要望の発表のほか、現場週休二日制や若手技能者の定着率向上のための工夫、効率化などのテーマで意見交換会を行っています。

※2 大林組認定基幹職長
※3 大林組認定優良クレーンオペレーター

リクルート活動の支援

次世代の建設技能者の入職を促し技術を伝承していくことは、調達先だけではなく、大林組の重要な役割だと考えています。大林組は大林組林友会と協力して、高校で就職を担当する先生方を対象とした合同会社説明会を2014年度から開催しています。
また、高校生や専門学校生を対象とした職業体験型現場見学会も開催しています。鉄筋・ガス圧接や左官・塗装などの数種類のコースを体験することで、「建設業で働く自分」をイメージし、技能者としての適性を判断してもらうことを目的としています。

バーナーの使い方を学ぶ高校生

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資機材の調達について

大林組は「グリーン調達ガイドライン」を定め、より環境負荷の少ない資機材の調達を推進しています。また、資材については法定基準を満たしたものであるか、工場などで現地材料検査を行うなどし、品質の管理に努めています。

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