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大林組
ピラミッド
 

7. 施工管理

次に私たちは工事を意図した目的にそい、品質、工期、工費、安全性を満足させるためにそれぞれに応じた管理体制、設備を考えた。それが施工管理である。この工事においては330万個の石材の品質管理と、切り出しから据え付けまでの工程管理が最も重要であると考えられる。とりわけ、各段の不均一、不整合は上層に対して安定を欠くおそれがあるので、石材の形状寸法と、その材質の管理は極めて重要である。
 

 
(1)品質管理
石材の品質の良否を判定する要因は、
 a 強度、耐久性、耐衝撃性があるか
 b 十分な精度の形状寸法を満足しているか
に分類される。
これら一連の試験、検査は採石場で行われるものと、運搬途中に設けた品質管理棟で行うものに分けられる。各々の採石場では、石材をサンプリングし圧縮試験を行い、その強度を判定する。同時に、採石場全域にわたり露出した石灰岩を各切り出し層ごとに弾性波試験(岩石の中を伝播する弾性波の速度を調べる試験)を行い、石材の密度強度を調べる。一方、切り出された石材もランダムサンプリングにより、個別に弾性波試験を行い、採石地で得た資料と対応照合する。また石材の形状寸法の試験は、切り出された1個1個の石材をコンベアーに乗せ、立方体の3方向からポテンショメーター式変位測定器により検査する。形状寸法の管理試験は、自動化されており、不良品は即座に別系列コンベアーに流され摘出される。すべての検査結果は、中央コントロール室に逐一伝達され、分析の上、採石場へフィールドバックされ、生産部門に指示される。
 
 

(2)工程管理
工程管理としては、石材の採取、運搬、据え付けの一連工程のうち、それぞれの場所で進捗状況を把握し、自動的に、中央コントロール室へ情報を発進伝達する方式を採用する。例えば、円板カッターの切削移動回数とその深度から、各機械の切削量情報を電送する。また、集積場では各トレーラーの運送回数を運搬量として把握するのはもちろん、石積み個所では各クレーンが据え付けた個数を100台のクレーンから、それぞれ別のチャンネルと発信音長の組み合わせにより、無線で情報発進する。これら一連の施工管理は前もってプログラミングされたシステムにより、コンピューターを利用して、集計、分析され、それぞれの作業個所へ的確に指示される。そのため中央コントロール室は正に施工管理の心臓部であり、人、機械、時間を最も有効に用いる管理の中枢である。現場の管理運営は、これを頂点としてピラミッドのごとく組織されることが肝要となる。
 

 

8. 見積りの条件

私たちは最終的な見積り段階に至り、現地から次の条件を入手した。
(1)作業時間       8時間

(2)年間労働日数    250日

(3)賃金(1日当たり)

  職長 4,000円
  整備工 3,000円
  クレーン運転手 4,000円
  重機運転手 6,000円
  トレーラー運転手 3,000円
  技能工 3,000円
  普通作業員 2,000円

賃金には、砂漠地での作業による割増分、建設ブームによる労働需給の変動から多少の値上がりを見込んでいる。

(4)建設機械輸入税

  一般機械 45.5%
  輸送用車両 34.0%

(5)海外輸送費(1t当たり)   3万円

9. 現在、日本で建設されているダムの工事費との比較

現在、日本において建設中のコンクリートダムの1m3当たりの建設標準単価を、私たちの計画した大ピラミッドと比較すると、コンクリートダムは24,000円前後、大ピラミッドは48,000円となり、大ピラミッドの建設単価はダム工事費の約2倍となる。一方、古代エジプト人が行った工法に基づき、当時20万人が30年かかったと単純に計算すると、現在の労賃に換算し、20万人×30年×12ヵ月×6万円/月=約4兆円となる。


見積書

 
 
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