INTERVIEW #06 JUN KAWANISHI
Film Director
Q:川西監督がお仕事をされる中で心がけていることがあればお聞かせください。
A:この仕事に入って最初に面白いと思ったのは、いろんな人の力が合体していくことでした。自主映画などをやっていた若いころは、自分の頭の中にあるものをいかに形にしていくかを考えていました。でも今は、プランナーがいて、カメラマンがいて、アートディレクターがいて、演者がいて、衣装デザイナーがいて…いろんなことが集結して、一本の映像ができあがる。この構造が面白いなと思います。技術の進歩で、一人でいろんなことを簡単にできるようになりましたが、一人のものづくりに逆戻りしてしまうと、面白いところが抜けてしまうとも思います。古いやり方にはこだわりませんが、自分の思い描いていたことを超える面白さを、チームの力で実現していきたいですね。
Q:最後に、監督の考える「つくるを拓く」について、今後つくり手として拓いていきたいことがあれば教えていただけますか?
A:最初の擬人化の話ともつながるんですが、「面白いモチーフだけど、どうやってつくればいいんだろう」という要素があるほうが、仕事は楽しいと思います。上がりがだいだい見えていてあまり不安がないものよりも、どうすればいいか悩むもののほうが、刺激があって面白い。多少の失敗のリスクは秘めていても、絶えずそういうものをやっていきたいと思います。あとは「いままで自分がつくってきたもののリメイクではない」ということを意識しています。同じことをやってもしょうがないですし、クライアントやモチーフが毎回変わる中で、自分がやってきた型に無理やりはめるようなことはしたくない。いつまでも「似て非なるもの」を追求していきたいですね。