ロームシアター京都(京都会館)が第27回BELCA賞を受賞

サステナビリティ

ロームシアター京都(京都会館)

京都・二条通りから見た施設全景。水平線を意識した意匠が、伝統的な京都の街並みに調和しています

ロングライフビル推進協会が主催する第27回BELCA賞ベストリフォーム部門に、大林組が2015(平成27)年に改修した「ロームシアター京都(京都会館)」(京都市左京区)が選ばれました。

BELCA賞は、長期にわたる適切な維持保全や優れた改修を実施した建築物を表彰する制度で、わが国のビルのロングライフ化に寄与することを目的としています。ベストリフォーム部門では、長期使用のビジョンを持って飛躍的な価値向上を図った建築物が表彰されています。

建物を特徴づける大庇

建物を特徴づける大庇、欄干手すり、壁レンガタイルなどには保存改修・回復を実施しました

京都会館は日本を代表する建築家 前川國男氏の設計により、1960(昭和35)年に建てられました。戦後のモダニズム建築の傑作として高い評価を受けるとともに、京都唯一の2000人規模の文化施設として、広く市民に愛されてきました。

築後50年を経た建物を、今後も公共施設として継続して使用できるよう、機能と施設水準の向上を図りつつ、文化的価値をできる限り活かした改修工事を行いました。

北側に位置していた旧第一ホール部分には、バレエやオペラなどの総合舞台芸術に対応できる「メインホール」を新築しました。南側の旧第二ホールは、舞台の機能を抜本的に改善し、プロから市民まで誰もが使いやすい中規模多目的ホール「サウスホール」へと再生しました。改修後の京都会館は、ロームシアター京都として新たな一歩を踏み出しています。

整備後のメインホール

整備後のメインホール。客席規模は維持したまま、舞台の広さや高さを拡張しました

サウスホール前中庭側のバルコニー部分を内部化

サウスホール前中庭側のバルコニー部分を内部化し、北側へ通り抜ける空間を整備しました

今回の受賞では、公共建築としての機能と施設水準の向上を図りながら、建物の価値保存に繊細かつ入念な対応をしたこと、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)でSクラスを取得するなど省エネルギー性と環境性にも配慮したこと、またホールロビーを介して南北に通り抜けが可能な公共空間を整備し、施設を街に開かれたものにしたことが評価されました。

大林組はこれからも、文化的価値の高い優れた建築物が長く次世代に受け継がれるよう、適切なメンテナンス、リニューアルに取り組んでまいります。

(撮影すべて:小川重雄)

■ロームシアター京都(京都会館) 概要 
竣工:1960(昭和35)年
改修:2015(平成27)年
所有:京都市
改修設計:香山壽夫、香山壽夫建築研究所、大林組、藤井組、岡野組、きんでん、東洋熱工業、東畑建築事務所
改修施工:大林組、藤井組、岡野組、きんでん、東洋熱工業