脱炭素・循環・自然共生社会への取り組み

「脱炭素社会」「循環社会」「自然共生社会」に向けた大林組の取り組みを紹介します。

脱炭素社会

大林グループは、2019年に長期ビジョン「Obayashi Sustainability Vision 2050」を策定し、2040年~2050年における目標の一つとして「脱炭素」を掲げています。このビジョン実現に向け、「カーボンニュートラル」をビジネス機会として経営計画に織り込み、具体的な取り組みを推進していきます。

温室効果ガス排出削減目標

大林グループでは、温室効果ガス排出削減目標(2030年度目標)を次のとおり設定しています。本削減目標は、パリ協定に整合した温室効果ガス排出削減目標であるとして、2022年にSBT(Science Based Targets)(※1)認定を取得しています。

  • ※1 SBT(Science Based Targets)
    パリ協定(世界の気温上昇を産業革命以前より2℃を十分に下回る水準(well-below 2℃)に保ち、さらに1.5℃に抑えることをめざすもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のこと
  • ※2 国際的な温室効果ガス排出量の算定と報告の基準として開発された「GHGプロトコル」で定められた温室効果ガス排出の区分
    Scope1...事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
    Scope2...他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
    Scope3...Scope1、2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。なお、目標対象はカテゴリ1および11

脱炭素に向けた取り組みの現状分析および課題

Scope1およびScope2

  • 建設現場の燃料使用に対する効果的なCO2削減策が実用段階に入っていないことからScope1の削減が進んでおらず、再生可能エネルギー(以下再エネ)や非化石証書の活用により、先行してScope2の削減を進めています。

Scope3

  • ZEBを含めた環境配慮型建設の実績が着実に積み上がっている一方で、設計施工案件の受注量や建物の環境性能を自社でコントロールできない部分もあり、竣工案件が多い年度は排出量が多くなっています。

今後の削減方針

脱炭素に向けた取り組みの着実な実施に向け、CO2排出削減策のロードマップを作成しました。このロードマップに基づきCO2削減を進めるとともに、実施状況や社会情勢に応じて適宜ロードマップの見直しを行っていきます。

Scope1およびScope2

  • ※3 2023年度の排出量は第三者保証取得前の速報値
  • 2025年度まではScope2の削減を先行して進め、並行して軽油代替燃料や電動建機の運用方法などを確立し、2026年度から必要な投資やコストをかけて本格的に取り組みを推進します。
  • Scope1の削減策については、メンテナンス性能やコスト、供給量を考慮しつつGTL(※4)やバイオディーゼル、リニューアブルディーゼル(※5)などの軽油代替燃料を最大限活用していきます。
  • 電動建機はコストや供給面での課題があるものの、実証実験などを通じて効果の検証を行い導入を進めます。
  • ※4 GTL (Gas to Liquid)燃料:天然ガス由来の製品で、環境負荷の少ないクリーンな軽油代替燃料。石油由来の製品と同等の性状を保持しつつ、軽油対比でCO2排出量を8.5%削減することが可能
  • ※5 食料と競合しない廃食油や廃動植物油などの原料から、水素化精製プロセスを経て製造する次世代バイオ燃料。ライフサイクルアセスメントベースでの温室効果ガス排出量で石油由来軽油比約90%削減を実現し、軽油を使用する車両や重機などでそのまま利用することが可能。

Scope3

  • ※6 2023年度の排出量は第三者保証取得前の速報値
  • クリーンクリート®は年間5万m³、電炉鉄骨は年間10万t使用することを目標とし、これら低炭素資材に対してインターナルカーボンプライシングを導入することで建設現場への適用拡大を進めるほか、継続してZEBなどの環境配慮型建設を推進します。

Scope1削減策

軽油代替燃料などの導入

  • 事業活動を通じて排出されるCO2の多くは、建設現場の建機などに使用される軽油などの燃焼から発生しています。CO2の排出を低減できる軽油代替燃料(GTL、バイオディーゼル、リニューアブルディーゼルなど)を活用することで、CO2の排出削減を図ります。

将来的には、水素燃料の活用も視野に取り組みを進めていきます。

100%バイオディーゼル燃料の活用に向けた実証実験
Neste社のリニューアブルディーゼル(RD)実証実験

ICT省力化施工、ハイブリッド建機・電動建機の導入推進

  • ICTを活用した省力化施工の拡大やハイブリッド建機、電動建機(電動大型バックホウ、電動ダンプなど)の導入をメーカーの市場投入計画に沿って推進し、燃料使用量を低減します。

ICTの活用による盛土の省力化施工

Scope2削減策

再生可能エネルギーへの転換

  • 建設現場やオフィス、賃貸不動産などで使用する電力を順次再生可能エネルギーに切り替え、2030年までに大林グループのScope2における「脱炭素」をめざします。

再エネ電力 導入目標

項目 2024年度 2027年度 2030年度
国内単体 100% 100% 100%
国内グループ会社
海外

Scope3削減策(カテゴリー1「資材製造」)

低炭素資材の活用(木造・木質化建築の推進など)

  • サプライチェーンなどと協働して低炭素資材の開発・実用化を進めていきます。2010年に開発した低炭素型コンクリート「クリーンクリート®」は、CO2排出量を最大80%低減でき、これまでの累積打設量は2023年度末時点で42万m³に達しています。そのほか、産業副産物を活用しカーボンネガティブを実現する「クリーンクリートN®」や木質バイオマスを使用し長期間CO2を固定できる「リグニンクリート」などの低炭素型資材を2022年度に新たに開発しており、今後も現場での適用拡大やさらなる技術開発・実用化を進めていきます。また、大型建築物の木造・木質化や電炉鉄骨、リユース材の活用を推進することにより、資材製造および施工に伴うCO2の排出を削減していきます。

クリーンクリートと電炉鉄骨 使用量目標

目標
クリーンクリート 5万m³/年
電炉鉄骨 10万t/年
  • 一般的なコンクリートと比較した「クリーンクリート®」「クリーンクリートN®」のCO2排出量

  • 「クリーンクリート®」の適用実績

構造部材をリユースしCO2排出を削減するオープンラボ3(旧電磁環境実験棟)

旧電磁環境実験棟(1993年竣工)
オープンラボ3完成イメージ
オープンラボ3における使用構造部材の製造時CO2排出量の比較
日本初の高層純木造耐火建築「Port Plus」(撮影:株式会社エスエス 走出直道)

インターナルカーボンプライシング(ICP)の活用

  • 低炭素資材(クリーンクリート、電炉鉄骨、木造・木質化建築など)の利用促進のため、インターナルカーボンプライシング(ICP)を導入しています。ICP単価は外部の市場単価予測や低炭素資材によるCO2削減単価などを参考に設定していますが、市場単価の変動などに合わせて適宜見直しを行う予定です。今後、削減効果の見える化や導入実績現場の評価、計画段階での低炭素資材の利用促進に活用していきます。
ICP設定単価 10,000円/t-CO2

Scope3削減策(カテゴリー11「建物運用」)

ZEB・ZEH-Mの推進・拡大

  • 自社の事業活動から排出するCO2の削減だけでなく、お客様に引き渡した建築物の運用時に排出されるCO2の削減にも取り組みます。建物の用途や特性に応じて、最新の省エネ技術とノウハウによりお客様に最適なZEB・ZEH-M(※7)をご提案していきます。
  • ※7 ZEB・ZEH-M(Net Zero Energy Building/House - Mansion)
    快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギー収支をゼロにすることをめざした建物

ZEB 目標

目標
大林組が受注する設計業務およびコンサル業務のうち、ZEBが占める割合(※8) 50%以上(2025年度)
設計施工案件によるZEB提案率(※9) 100%(2024年度)
設計施工案件によるZEB認証件数(※9) 5件(2024年度)(※10)
  • 自然エネルギーを活用した省エネルギー技術

  • ZEH-Mで活用される省エネルギー技術

ZEB認証を取得した木造の仮設現場事務所

脱炭素に貢献する技術開発の推進

新たな省エネ工法、省燃費建機や電動建機の技術開発に加えて、水素利用なども含めたカーボンニュートラルに貢献する技術開発について、他業種とも連携しながら推進していきます。

関連情報

ページトップへ

循環社会

新築設計段階から完成後の運用管理・調査・診断、リニューアル計画までの最適なプランを立案し、建設物やインフラの長寿命化の実現をサポートするとともに、資源リサイクルや安全な土地・水の確保を考慮して事業活動を推進しています。

関連情報

ページトップへ

自然共生社会

生物多様性に関する考え方

生物多様性は、人間や動植物を含むさまざまな生物が持続するための基盤であり、未来世代に引き継ぐべき財産です。生物多様性は人間の社会活動に恩恵をもたらすとともに、地域独自の豊かな文化と暮らしの安全性を支えてきました。 私たちは「大林組環境方針」に基づき、自社の活動が生物多様性に与える影響を認識し、さまざまな事業活動を通じてその負荷の低減と生物多様性の保全に取り組みます。

生物多様性に関する方針

  • 1 事業活動を通して生物多様性の保全と生物資源の持続的活用に貢献する。
  • 2 生物多様性の保全に寄与する技術を積極的に社会に提案するとともに、自然を活かし自然と共生する有効な技術開発を行う。
  • 3 省エネルギー、省資源、3R、グリーン調達、有害化学物質対策等により持続的な発展が可能な社会づくりを推進し、生物多様性への環境負荷の低減に努める。
  • 4 自社施設での生物多様性の保全に努める。
  • 5 生物多様性への取り組みの実効性を上げるため、社会とのコミュニケーションに努める。
  • 6 環境教育、広報活動などにより、生物多様性を育む意識の向上に努める。

2009年5月19日制定