アクティブライフデザイン05 ネットワークで地域に活力を生む

一つ先をゆく技術で
都市や地域を
スムーズにつなぐ

都市内に張りめぐらされたライフライン。地域と地域をつなぐ道路と鉄道。私たちの暮らしはさまざまなインフラで支えられています。大きな災害の経験から、ネットワークの重要性が再認識されました。ミッシングリンクを解消し、活力ある都市や地域のために、大林組はネットワークを円滑につなぐ新しい技術を生み出しています。

アンダーパス急速施工法 URUP(ユーラップ)工法

「軟弱地盤が多い」「高水圧」「住宅が密集」「交通量が多い」。このような課題を抱える都市部でのトンネル工事向けに開発された、アンダーパスの急速施工法。従来のような立坑・開削工事を行わず、地上から発進したシールドマシンで地下を掘り進み、交差点の向こう側で地上に上がるという世界初の技術です。ハイスピード・コンパクト・エコな工法で、ドライバーや近隣住民への影響を最小限に抑えます。

■工事期間を2分の1~3分の1に短縮
■工事中の交通渋滞、騒音・振動、CO2発生を低減
■杭打機などの大型重機を使用せず、工事による排出ガスを最小限化

消費電力低減&高速施工 省エネシールド工法

近年、都市部では高速道路や鉄道の地下化などに向けたシールドトンネル工事において、シールド機の大口径化や、高速掘進へのニーズが高まる反面、省エネルギー化が望まれています。「省エネシールド工法」は、内周部と外周部を別々に回転させる二重カッター方式を採用することで、カッターヘッド全体が単一で回転する従来工法に比べ、掘進速度の向上と電力消費量を抑制した高効率な掘削を実現します。

■高効率なカッター駆動で電力消費量を約30%抑制
■二重カッター方式で掘進速度を約25%向上
■カッター駆動部のトラブルを減少させ、稼働率を向上

長大トンネルの急速施工技術

都市をつなぐ長距離のトンネルや大深度のトンネルの施工では、前方の地質を把握しきれず、工事中に落盤や湧き水の出水に見舞われ、工期が遅れるといったリスクを抱えていました。そこで大林組では、山間部におけるトンネルの安全な急速施工を実現するために、山の中を「見える化」する前方探査技術をはじめ、残土搬送システム、覆工システムの高度化を追求しています。さらなる高速移動が求められる時代、新たな交通ネットワークの形成を早急に現実のものにする技術がここにあります。

ノンコア削孔切羽前方探査技術 トンネルナビ 高速ノンコア削孔探査システム

山岳トンネル工事では、安全で合理的な施工を行う上で、工事の支障となる断層破砕帯などの地質の悪い地山を高い精度で予測することが不可欠です。大林組では、山岳トンネル工事の安全と工程の確保に寄与するべく、地質不良部の存在を事前に把握するための探査技術の開発に取り組んでいます。

日常的な切羽前方の地質評価に使用します。

■主な適用対象トンネル: 山岳トンネル全般
■使用機材: ドリルジャンボ
■探査距離: 30~50m
■探査時間: 2~3時間

長距離水抜き孔の削孔と切羽前方探査を兼用できます。

■主な適用対象トンネル: 大量湧水が予想される山岳トンネル
■使用機材: 専用ボーリングマシン(水圧ハンマ-式)
■探査距離: 約150m
■探査時間: 約8時間(従来技術の4分の1に短縮)

山岳トンネル工事掘削ずり運搬装置 連続ベルトコンベアー低空頭ベルト捻転装置  山岳トンネル工事用型枠 連続ベルコン通過型テレスコピック式セントル

ベルト捻転装置の省スペース化により、急曲部のある標準的な断面積のトンネルへ連続ベルコンを適用することが可能になりました。斜坑と本坑内を連続したベルトコンベヤーで結ぶことで、土砂搬出作業の効率化が図られます。これにより坑内を往来するダンプトラックを大幅に削減できるため、坑内の作業環境と安全性も向上します。

コンクリート打設後のフォームを自立させた状態で、その内側を小さく折り畳んだ別のフォームがくぐり抜ける「テレスコピック方式」の採用により、後方で養生しながら前方で次の打設作業を進めることができます。2組のフォームを用いることで、打設サイクルを変えずに長期養生を可能としました。これにより、コンクリート強度を増進させ、覆工コンクリートの長期的な品質を向上させます。

平成27年1月撮影、中日本高速道路提供

生産性を向上させるフルプレキャスト技術 LRV工法

LRV工法は、これまで現地で建設していた鉄筋コンクリート構造物を、品質管理の行き届いた工場で各部材毎に製作し、特殊な接合方法で組み立てる技術です。部材の鉛直移動(V工法)と水平移動(H工法)を巧みに組み合わせることで、これまで高層建築に多くの実績を有しています。今回、LRV工法を水平に長い鉄道高架橋に適用する技術を開発しました。LRV工法によって、品質向上・工期短縮・建設時の環境負荷低減が期待されます。
※LRV工法(Left Right Vertical Installation PCa Method)

鉄道高架橋の超短期施工を実現
LRビーム(三田) オフィス+集合住宅:47階(虎ノ門)
集合住宅:36階(三田) 集合住宅:28階(大崎) 集合住宅:38階(市谷)

LRV工法はこれまでに、50階超の集合住宅やオフィスビル、免震・制振建物、低騒音低振動な耐震補強など、35棟の多様な建築に適用されてきました。