
これだけは知っておこう!
いろいろな場面で私たちの暮らしを支える
ダムの世界をのぞいてみよう!
これだけは知っておこう!
みなさんはダムについてどれくらい知っているかな? まずはダムが何をする所なのかを見ていこう!
ダムは川に流れる水を貯めることで水の量を増やしたり、減らしたりする施設のことです。雨が多く降ったときには川に水がたくさん流れこんで洪水が起きてしまったり、反対に雨が降らないと川の水が干上がってしまいます。ダムは川にいつも一定の水が流れるように見守り、私たちがいつでも水を使えるようにしてくれています。
洪水
いつも通りの川
渇水
ダムと同じように堰(せき)や水門も川に流れる水を調整しています。みなさんの街にある川でも堰や水門を見ることができるかもしれません。ダムと堰は主に水を貯める役割をもっており、普段は基本的にゲートが閉じていて、洪水のときにはゲートを開けて水量を調整します。ダムと堰の違いは、その高さです。15m以上の高さがあるものをダム、それより低いものを堰といいます。一方、水門は堤防の役割をもっているので普段は開いていますが、洪水になるとゲートを閉め、水の流れを弱めて下流を守ります。
ダム
堰(せき)
水門
ダム
堰(せき)
水門
ダムの役割は治水、流水の正常な機能維持、利水、発電に分けることができます。それぞれの役割を見ていこう!
治水
川が氾濫(はんらん)したり、枯れてしまわないように水の量を調節して、水害から私たちを守ります。
流水の正常な機能維持
川の水が少なくなった時でも、船が通行したり、川の生き物が安心して暮らせるように水を流して周辺の環境を整えます。
利水
私たちの生活に必要な水をはじめ、畑や工場で使う水を届けます。この役割のおかげで雨の量に左右されずに水を使うことができます。
発電
貯水池に貯めた水が流れ落ちる自然の力を使って電気をつくり、みなさんの家庭に届けます。
ダムをつくる前には、長い時間をかけてその場所にどんな生物が住んでいるか、どんな生態系があるのかをしっかりと調べます。そして、元々そこにいる動物や植物が変わらず安心して暮らせる環境を考えながらダムをつくっていきます。
ひとくくりにダムといっても、形や構造はさまざま。代表的なダムの種類を見ていこう!
どすこい!重いぞ!
コンクリートダムの中で、一番多くつくられているダム。水の力をダムの重さで支える構造で、横から見ると三角形になっています。重い堤体を支えられる硬い地盤につくられます。
カーブが美しい!
重力式コンクリートダムに比べて堤体が薄く、アーチ状の形をしたダム。水の力をダムの両側や岩盤に分散させる構造のため、しっかりとした岩盤にしかつくれません。
どっしりとした形状が魅力!
コンクリートを節約するため、重力式コンクリートダムの中をくり抜いたダム。重さがない分、足を広げたようなどっしりとした形状です。
扶壁(ふへき)式ダムとも言う!
水圧が加わる止水壁をバットレス(扶壁)で支えるダムです。
近くにある材料でつくる!
掘削して発生した砂や岩ズリなど、ダム現場近くで入手した材料に、セメントと水を加えてつくったダムです。
岩石でダムをつくる!
岩石と土砂でできたダムでロックフィルダムとも呼ばれます。岩石部分が堤体の安定を受け持ち、中心の水を通しにくい土砂の部分で水をせき止めます。
世界最多のダム!
アースフィルダムとも呼ばれ、土を押し固めてつくられている最も古くからあるダム。ロックフィルダムに比べて堤体が低いのが特徴です。世界のダムの約7割を占める、最も数が多いダムでもあります。
ダム表面にコンクリートやアスファルトをかぶせて、水を通さない仕組みにしているダムです。
ダムには、どんな仕組みや設備があるのかを見ていこう!
貯水池に設置される塔のことです。水の使い道に合わせて、さまざまな層から水を取ることができます。
ダムの内部を点検するための通路トンネルです。ダムがきちんと働いているか、壊れている所はないかを定期的にチェックするためのトンネルです。
ダムから流れ出る水をそのまま川に流してしまうと水の勢いで川がえぐられてしまいます。周りを傷めないように水の流れを緩やかにする役割があります。
ダムの一番大事な場所で、貯めた水を流し出す口のことをいいます。洪水調節に使われる「常用洪水吐き」と常用洪水吐きの放流量を上回る放流を行うときに使用する「非常用洪水吐き」の2種類があります。
減勢工の水路の側壁のことです。
下流側につくられた低いダムです。洪水吐きから放流された水の勢いを弱める働きをしています。
ダムが完成するまでにはたくさんの工程があり、一つのダムをつくるのに40年から50年という長い時間がかかります。
コンクリートダムができるまでを簡単に見ていきましょう!
建設予定地の岩盤や地質などが、ダムに適しているかどうか、どんな生物が住んでいるかなどを調査し、ダム建設計画を立てます。調査結果をもとに、ダムや周辺施設の図面を作成します。
今流れている川を一時的にう回させたり、建設のための資材を仮置する場所、資材運搬に使う道路などを整備します。コンクリート製造設備やコンクリート打設に必要なクレーンなども組み立てます。
しっかりした岩盤の上にダムをつくるために、ダムの基礎となる部分にある土砂や弱い岩を取り除きます。
ひび割れなどに注意しながらコンクリートを打ち重ねてダム本体を建設していきます。同時にダムを管理する事務所や設備などをつくります。
ダム本体の強度を確かめたり、水がもれていないかなどの試験をします。この試験が無事に完了したら、ダムは完成です!