無限なるエネルギーの源へ
邁進するテクノロジー
枯渇が叫ばれているエネルギーですが宇宙には無尽蔵に存在します。その限りないエネルギーの源へ近づくプロジェクトが大林組の宇宙エレベーター建設構想です。21世紀の「人類にとって大きな一歩」はすでに踏み出されています。
宇宙エレベーターは、宇宙と地球を結び、人やモノを運ぶ輸送システムです。かつては、それを実現するだけの軽さと強度のある素材が存在せず、夢物語にすぎませんでした。しかし、1991年に軽くて強い素材、カーボンナノチューブが発見され、宇宙エレベーターの実現性は一気に高まりました。宇宙エレベーターで最大規模の駅となる「静止軌道ステーション」には、巨大な宇宙太陽光発電システムを設置し、無尽蔵の太陽光を利用した発電も計画。大林組では、2050年の実現をめざして、一連の技術開発に取り組んでいます。
宇宙エレベーターの全長は9万6000km。地球上の発着点が「アース・ポート」で、宇宙の静止軌道上には最大規模の駅「静止軌道ステーション」があります。ケーブルの先端の「カウンターウェイト」は重さのバランスをとるためのもので、木星や小惑星への宇宙船を放出する、太陽系連絡ゲートの役割も担います。そのほか、高度3900kmに「火星重力センター」、高度8900kmには「月重力センター」を設置し、実験や研究を実施。「低軌道衛星投入ゲート」では、人工衛星を高度300kmの低軌道に投入します。そして、静止軌道ステーションには、大規模な宇宙太陽光発電システムを設置。無尽蔵の太陽光を利用して、大量の発電を行います。
地球の自転と同じ速度で周回し地上から見ると常に静止しているように見える「静止衛星」と、地球とをケーブルで結び、ケーブル上を「クライマー(昇降機)」が人や物資を載せて往復します。
ケーブルを敷設する最初のフェーズでは、工事用クライマーが補強ケーブルを貼り付けながら上昇します。約500回の補強を行いケーブルが完成すると、重さ100tのクライマーが使えるようになります。
大林組は、建設時から重要な役割を持つクライマーの研究開発も行っています。
クライマー競技会にも参加
(湘南工科大学との共同研究)
平面上に化学結合した炭素原子が筒状になっているもの。筒の最小径は数nm(ナノメートル、1nmは100万分の1mm)で、長さは今のところ数ミリメートルまでできるようになっています。欠陥のないカーボンナノチューブは、鋼鉄の20倍以上の引張強度を持つと言われています。大林組では、宇宙空間および地上での利用の可能性を探るため、カーボンナノチューブの実際の宇宙空間での耐久性を把握し始めています。