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  • ウォータータワープラザ
  • タワープラザアベニュー

解説

当社の技術を結集したRC造超高層マンション

1986年12月、旧国鉄の淀川貨物駅跡地を対象として実施された「桜之宮中野地区都市型集合住宅プロジェクト開発設計競技」において、松下興産(現、MID都市開発)、近鉄不動産、当社の3社グループの提案が最優秀に選ばれた。

施設は、竣工時、RC造としては国内最高の高さ(139m)となった地上41階建ての超高層住宅「ウォータータワープラザ」と、音楽ホールや温水プール、レストラン、店舗を有する「タワープラザアベニュー」で構成され、大阪市の中心部を流れる大川(旧淀川)沿いに、21世紀に向けた快適な都市生活を提供している。

設計は当社が担当し、建物中央部には吹き抜け空間を設け、採光と通風を確保するとともに、ホテル感覚のエントランスロビー、児童図書館を設けたスカイロビー(20階)、超高層の眺望を楽しめるビューロビー(40階)など、共有空間の充実が図られている。超高層では国内初となるRCダブルチューブ構造を採用したことで、住戸スペースに柱や梁のないシンプルな空間形成が実現でき、多様なニーズに応じた住戸プランの提供が可能となった。設備面では、快適な居住環境の確保および安全性・利便性とともに、維持管理の容易さと耐久性の向上をめざした。共用配管・配線は保守・点検と将来の更新工事をすべて共用廊下から施工できるようにし、パイプスペースには更新配管のためのスペースを確保した。また、住戸内の給水・給湯管はポリブデン管を採用して、腐食対策とともにメンテナンスを容易にしている。

RC造超高層住宅の躯体工事には、最先端の技術を結集した。当時としては超高強度の高流動コンクリートを最新のコンクリート用混和剤を用いて実用化し、極太径の異形鉄筋を採用し、小さな柱寸法で大きな柱スパンを実現した。効率良く超高層建物を施工するために、1フロアを4ブロックに分割し、1ブロック当たり7日のサイクルで躯体を構築できる計画を練り上げ、実施した。

また高強度コンクリートの施工性と品質確保のために、現場内に実際の躯体を模したモックアップを制作し、コンクリート試験室として運用した。極太径の鉄筋を効率良くmm単位の精度で組み立てるため、協力会社と試行錯誤しながら、専用の加工機を開発した。

工事中は、日本最高高さのRC造超高層住宅ということで注目され、4,000人を超える見学者を集めた。

1992年労働大臣表彰(優良賞)、1993年日本建築学会賞(業績)を受賞した。

同時期、当社は桜之宮中野地区でAブロックのほか、Dブロックを除いた以下の集合住宅工事を単独または他社と共同施工した。
・Bブロック:RC造、B1、23F、1棟(住宅・都市整備公団発注)
・Cブロック:SRC造、B1、27F、1棟(大阪市住宅供給公社発注)
・Eブロック:SRC造、B1、15F、1棟(大阪労働者住宅生活協同組合発注)

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