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解説

マリオ・ベリーニ設計のデザイン文化の発信地

東京のJR五反田駅近くに建つ東京デザインセンターは、家具などの工業デザイナーとして活躍するマリオ・ベリーニ氏が初めて本格的な建築デザインを担当したものである。当社は設計パートナーとして支援に当たるとともに、施工を担当した。

敷地はコの字型で、コの字の左側に該当する狭い2ヵ所が接道し、道路からの奥行があるものの、敷地の半分ほどが上り急斜面という悪条件であった。ベリーニ氏はこの条件を逆手に取り、ユニークな設計に挑戦した。建物を斜めに貫通するように五反田駅前と建物背後を結びつける5層吹き抜けの大階段ガレリアが設けられ、裏庭には正面とはまったく異なる緑の斜面と階段状建物の美しい表情が見られる。エレベーターホールの最上層部分はガラスドーム状のキューポラになっている。日本の建築常識とは異なり、外壁に大理石を用いたのは、時間とともに石材が風化することを狙ったもので、「数十年たって価値を増す建物」を意図している。

内装には当時はまだ珍しかったイタリアン・スタッコの壁を要所で採用した。磨くと非常に美しい艶が出る材料だが、あえて艶消しで用いている。施工にあたり、日本の左官職人を本場イタリアに派遣し、現地で塗り方を学ばせた。正面外壁には、大理石の出目地打ち込みのハーフPC版を採用している。

躯体工事では、複雑な空間構成のために通し柱が少なく、柱と梁の関係が複雑となり、施工面ではかなり神経を使うことになった。

完成後は、家具を中心にインテリアのトップブランド各社のショールームが設けられ、デザイン情報を発信する場となっている。

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