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解説

CTS(電子組版システム)を備えた毎日新聞大阪本社の新本社

毎日新聞大阪本社新社屋の建設は、堂島にあった旧本社(1922〈大正11〉年3月竣工、当社施工)の跡地再開発工事とともに、関西の注目を集めた工事であった。

新本社は、JR大阪駅西側の再開発地区「大阪ガーデンシティ」の西端に位置し、「大阪の文化、国際、情報化の拠点」として開発される同地区のトップを切って、1992年11月に完成した。

従来の新聞製作の工程を一新したインテリジェントビルであり、24時間リアルタイムで世界の情報を収集し、短時間で紙面化するために、編集から制作、印刷、発送までコンピュータ化(電子組版システム:CTS)されている。地下階には多目的のオーバルホールが設けられ、印刷・発送の諸設備のほか、店舗街があり、このうち、輪転機は地下6階から地下2階までの巨大な吹き抜けに設置されている。最大の難関は地下工事であった。北側にJRの環状線、西側と南側には阪神高速道路の柱脚が立ち並び、その間に挟まれた軟弱な沖積粘土層を地下6階(掘削深さ24m)まで掘り下げる工事とあって、常に沈下と地下水の状況を管理下において施工した。1991年3月、地下19.5mの敷き面より突然出水があり、その処理に大変苦労したため、以降は2人体制の宿直監視を続けることになった。

新聞社の心臓部である輪転機の基礎工事には重量コンクリートを打設し、1992年6月には、輪転機受け入れのために地下階の一部、コンピュータ据え付けのために地上階の一部を引き渡した。

同ビルには、毎日新聞社のほか、スポーツニッポン新聞社、毎日文化センターなど関連会社も入居し、文字通り情報発信基地として機能している。

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