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  • 3号機
  • 4号機格納容器
  • 4号機タービン建屋

解説

PCCVの豊富な実績を活かした増設工事

玄海原子力発電所は、九州で初の原子力発電所である。当社は、1号機(1975年10月営業運転開始、55.9万kW)、2号機(1981年3月営業運転開始、55.9万kW)の主要建築工事および関連土木工事を単独で施工した。

1987年 5月に着工した3・4号機は、1・2号機の2倍を超える118万kWの加圧水型軽水炉(PWR)で、プレストレストコンクリート製格納容器(PCCV)を有している。計画段階から三菱重工業との間で技術的課題について共同研究を重ねてきたこともあり、敷地造成工事、本館掘削工事、本館建物建築工事、PCCV建築工事、付属建物工事などすべてのJVにおいて当社がスポンサーを務めた。

岩盤掘削工事においては、稼働中の1・2号機に対する発破振動や飛び石の影響を考慮して無振動・無騒音のロックブレーカー掘削工法を採用、海面下21mまで掘削するため海水の浸透を防止する遮水グラウト工法を採用した。

施工上、特に注意を払ったのが、「膨大な物量をいかにして安全に、工期内に納めるか」と、「社会的にも影響力が大きい重要施設の品質をいかにして確保していくか」であった。膨大な物量消化のために、荷捌き用タワークレーンを現場全体をカバーできるように配置するとともに、荷捌き補助のための移動式クレーンやコンクリートポンプ車、先入れ機器搬入を考慮したトラック構台を効率よく配置した。品質確保については、準備段階から品質保証体制を確立。特に原子力発電所の主要材料であるコンクリートの品質管理を重視し、良質で大量のコンクリートの安定供給と確実な施工の実施をめざした。海砂洗砂設備や練り上がり温度低減のためのフレークアイス設備、環境保全のための排水処理設備を整えた。建屋地上部の外壁には、コンクリート面の耐久性向上のために、エクセルフォーム工法(透水性繊維によりコンクリート表面水を排出する型枠)を全面的に採用した。

工事全体にわたって、先行事例である日本原子力発電敦賀2号機の経験を活かすことができた。

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