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解説

地下部分に地域冷暖房システムと変電所を設置したインテリジェントビル

りんくうエルガビルは、関西国際空港対岸の泉佐野市沿岸部に造成されたりんくうタウンの中央に建設された複合ビルである。最先端の設備機器が導入されたインテリジェントビルで、地下部分にはりんくうタウン商業地区の地域冷暖房システム、変電所、ガスガバナーステーションが設置され、地上4階から上部に設置されたクーリングタワー置場外壁アルミパネルには夕陽と海をイメージした色彩とデザインが採用されている。

着工当時、りんくうタウンでは空港連絡橋の取り付け道路の高架橋工事や商業地区の幹線道路予定地地下の共同溝工事が最盛期であり、ビルの建設地まで仮設道路を設けることから工事は始まった。当初は、地元との協議により、りんくうタウン内の建設工事はすべて海上から資機材・人員を輸送することとされ、資機材、重機、人員は近くの港からフェリーや通船で輸送した。

工事のポイントは、平面形状が80×100m、深さが18mの地下工事。基礎地盤は良好で本体構造は杭なしのベタ基礎であり、逆打ち支持杭を打設できず、地下工法は順打ちの4段水平切梁による総掘りとしたが、掘削土量は15万㎥になった。地下躯体工事では、地域冷暖房システムなどが設置される地下4階から地下2階部分で、地中梁高さ4.7m、3層吹き抜けの高さ11.5mの躯体を施工するため、地下1階の床を先行構築した後に水平切梁の解体を行う手順となり、地下躯体完了までに2年を要した。この間、1994年6月には湾岸幹線道路が開通し、陸路による輸送ができるようになった。

1995年8月、地域冷暖房設備の搬入据え付けを予定通り終え、仕上工事は計画工程を1ヵ月以上上回る進捗で進み、1996年9月、予定通り工事を完了させた。

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