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  • アトリウム見上げ

解説

桜島を望む緑の街に、親しみやすく利用しやすい新県庁舎をめざして

鹿児島市南東部の鴨池ニュータウンの緑豊かな公園グリーンセンターに新しい鹿児島県庁舎(行政庁舎)、県議会場、警察本部の建設が計画され、当社は鹿児島県庁舎を他社と共同施工した。

高さ93.09mと九州の官公庁建物では一番の高さ(完成当時)を誇る県庁舎の外装は、下層部は花崗岩打ち込みのPC版、中層部が磁器タイル打ち込みのPC版、上層部が金属板仕上げで、重厚感を表すとともに未来に羽ばたく軽快感を表現している。

施工上の問題点となったのが、鹿児島特有のシラス地盤。乾いた状態ではかなりの強度があるが、水を含むとたちまち泥水となる。敷地の地下150mまでがシラス層になっているため、杭は径1.2〜1.9mで長さ63mの全摩擦杭を採用した。さらに、大地震時の杭周辺の地盤液状化を防止するために、周辺地盤を振動させて締め固めるバイブロフローテーション工法による砂利杭で地盤改良を施している。

鉄骨建て方では、ユニットスラブ工法を採用。地上で小梁を組み、デッキプレートを敷き込み、その上にほかの部分のデッキプレートと床鉄筋を載せて所定の位置に吊り込む方法で、高所作業のリスクを低減し、荷揚げ作業の効率化を実現した。建物中央部1階から最上階まで吹き抜けのアトリウムでは、屋根部分のトラスを地上で組み上げ、タワークレーンで一度に吊り上げて施工した。

1996年秋、予定通り引き渡しを終え、鹿児島の新しいランドマークが誕生した。内部には巨大なアトリウムが広がり、桜島を一望できる県民ホールや展望ロビーなども備えられ、開放的で親しみやすい施設となっている。

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