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解説

世界初、建物上にケーブル構造の通信用鉄塔を構築した新ノードビル(送受信用途ビル)

ドコモ大阪南港ビルは、第3世代移動通信サービス「FOMA」の需用増大に対応するため、関西エリアにおける移動通信ネットワークの拠点として計画された。世界で初めて屋上にケーブル構造の通信用鉄塔を搭載した地上12階建ての建物であり、全国のドコモのノードビル(送受信用途ビル)の中でも最大規模である。

屋上に設備機器を集約設置することにより、1フロア約5,400㎡という広さを確保し、情報通信機器室内を無柱空間としてレイアウトの自由度を高めている。構造的には、埋立地である軟弱地盤に対し剛性の高い地中連続壁杭で上部構造を支え、基礎と1階の間に免震装置92基を設置、地上階はCFT鋼管柱と粘性体制振壁46基を採用し、設備的には、送電系統の2重化、ICカードによるセキュリティシステムなどにより、通信施設として求められる高い安全性・信頼性が確保されている。

鉄塔工事は建物が完成して運用が開始された後、地上55mの建物屋上に高さ145m、総重量1,700tに達する特殊構造物を構築する危険性の高いもので、塔体は最終段階で本設ケーブルを緊張するまで自立不能なため、綿密な施工計画の検討を行い、仮設ケーブルで支えながら施工した。鉄塔下部は750tクローラークレーン、上部は、建物屋上に高さ60mの仮設構台を架設し、その上に設置した大型タワークレーンを使用して、大ブロック地組一括架設により組み立て、沿岸部特有の強風の影響による鉄塔本体の変形の抑制、垂直精度の計測と修正を実施し、垂直精度は1/7250(全高145mで頂部の倒れ20mm以内)を達成、併せて、工期短縮と高所作業の安全性確保を実現した。

施工では、ゼロエミッションにも取り組み、2003年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰(3R推進協議会会長賞)を受けた。また、日本鋼構造協会業績賞(2005年度)、日本免震構造協会賞(2004年度技術賞)の各賞も受賞している。

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