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解説

自然豊かな六甲山麓に、病院と介護が一体となった施設を建設

神戸海星病院は、1871(明治4)年に開設された神戸で最も古い外国人向け病院を前身とし、1961(昭和36)年に設立された社会福祉聖母会神戸海星病院を経て、1989年に現在の医療法人に改組されたものである。設計者である安藤忠雄氏は、1983年以来、神戸の六甲山麓に斜面地型集合住宅を手がけているが、その4番目となるのが、神戸海星病院および介護付有料老人ホーム、コンフォートヒルズ六甲である。

病院棟と老人ホーム棟は、六甲山麓の形状に合わせるように、ともにゆるやかな円弧を描き、建物全体が与える威圧感を軽減するようにデザインされている。施設は、陽光と緑にあふれ、眺望に恵まれた環境の中で、高齢者が精神的にも身体的にも安心して暮らせる、病院と介護が一体となった施設である。

工事は、築40年を超えて老朽化した既存の病院を運営しつつ、新棟の建設、引越し、既存施設の解体を繰り返し、最後に老人ホームを建設するもので、足かけ5年の長丁場であった。入院中、手術中の患者がいるすぐそばで施工を進めるため、患者に負担を与えないよう臨機応変な調整と通常の工事以上の配慮が必要であった。

作業員に、「高齢者が精神的にも身体的にも安心して暮らせる病院と介護が一体となった施設を創る」という本工事の意義を呼びかけ、継続して意識を高めて工事を進めた。

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