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解説

大深度海底をシールド工法で貫き、21世紀の海の路をつなぐ
土木工事

東京湾アクアラインは、東京湾を横断して神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ全長15.1kmの自動車専用道路で、木更津から木更津人工島(海ほたる)までの橋梁部(アクアブリッジ)と、そこから川崎に延びる海底トンネル(アクアトンネル)からなる。当社JVは、木更津人工島の西側斜路部の築造工事、人工島から川崎側に延びる海底トンネルのシールド工事を施工した。

人工島西側の工事は、海底に堆積する軟弱地盤を床掘、さらにその下部を地盤改良、その後鋼管矢板を打設して護岸を築造した。海面下に完成した護岸の内側に改良盛土、外側に石材による盛土を築造し、海上部に波返しのRC擁壁、平坦部の砂盛土を行った。将来、内側の盛土の中をトンネルが通過するため、シールド掘進時の安定性だけでなく、完成後もトンネルを安定して保持できるだけの品質を必要とした。当社は、専用のプラント船「柏練号」、打設台船「柏盛号」を新たに建造し、工事にあたった。

シールド工事は、木更津人工島から川崎方面に向かい、最大水深28m、最大土被り16mの海底に約2.8kmのトンネルを掘り進めるものである。シールドマシンは直径14.14m、重量3,200tと世界最大級のもので、巨大な水圧に耐えながら、当時としては例の少ない長距離施工に挑んだ。安全かつ効率的に施工を進めるため、セグメントの坑内搬送や組立、シールド機の掘進管理などに自動化システムを大幅に導入し、より速く、より確実なトンネル構築を実現した。海底下の高水圧が作用する厳しい腐食環境に適応するため、水膨張性シールによるセグメント間の止水、継手の防食を行ったうえに、1次覆工内面に防水シートを設置し、トンネルの止水性を確保した。地震対策にも注意を払い、立坑接続部に可撓セグメントや地中接続部に弾性ワッシャーを使用、継手ボルトは長ボルトとし、地震時のひずみを吸収している。

川崎人工島から掘り進む他JVとの接合点に向けて、最大月進量310.5m(8工区で最大)を記録して順調に掘り進んだ結果、接合点は相手工区に490m食い込んだ地点に変更された。地中で2機のシールド機を接合するためには高精度な位置確認が必要となるが、高水圧下での水平探査ボーリングという難度の高い技術を成功させ、掘削誤差が水平8mm、垂直11mmという驚異的な施工精度であった。高水圧下での接合・貫通には、止水性の確保、貫通時の地下水流入に備えるため、接合面周辺地盤をリング状に凍らせる凍結工法を採用した。

建築工事

木更津人工島の巨大サービスエリアを当社JVが施工した。

476台収容の駐車場、売店、レストラン、パノラマデッキ、イベントスペースなどの施設を備えた海に浮かぶショッピングモールである。建物は真っ白な豪華客船をイメージし、屋上には帆を模した2基の大型テントが取り付けられている。周囲を海に囲まれ、秒速20m以上の海風が吹き付ける中、塩害にも悩まされながら品質管理・安全管理には特に注意を払い、鉄骨建て方、コンクリート打設を行った。周辺環境への配慮から夜間の作業ができず、朝夕は大型観光バスを使って、作業員をピストン輸送しながら、完成させた。

富士山を望み、東京湾を360度見渡せるパノラマは、ここでしか味わえない光景である。パーキングとしてだけでなく、マリンリゾート感覚あふれる新たな観光スポットとなった。

技術紹介へのリンク

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