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解説

低発熱コンクリートを使用し、構造物の品質を向上

2009年3月、阪神電鉄尼崎駅と大阪難波駅を結ぶ阪神なんば線が開業し、神戸・難波・奈良が直通で結ばれた。このうち、当社は九条駅東端からドーム前駅までのシールドトンネル部(305.8mおよび297.2m)と開削トンネル部(225m)を他社と共同で施工した。

開削区間の掘削深さは最大で約34.5mに達し、大深度の土留めにはソイルセメント壁(TRD)と薬液注入工法を組み合わせ、工期短縮を図った。地下には、上下水道、NTTなどの埋設物があり欠損防護工を行う必要があったが、関係各所と協議を重ね、地下埋設物を切り回し土留め欠損をなくすことに成功した。品質面においては、駅部が地下水位以下に構築されるため、コンクリートのひび割れからの漏水による構造物寿命の低下などが懸念された。低発熱コンクリートを使用するとともに、誘発目地を設置して有害なひび割れの発生を防止した。

シールド区間では、工期短縮のため、シールド機のUターンにエアキャスター方式を採用した。駅舎部の始終端部はシールド機の発進・到達立坑を兼用する構造で、最終到達時に出水事故が起きると、全工区が水没するリスクがあった。そこで到達部に鋼製止水壁を設置し、出水もなくシールドは無事到達した。

京セラドーム大阪の最寄り駅であるドーム前駅の南出入口はガラスと金属パネルを用いた幾何学形状(三角形)の未来的なデザインで、ドームとの調和と対比が図られ、プラットホーム階の壁面には、かつてこの地にレンガ造りのガス工場があったことから、懐かしさやあたたかみを感じさせるレンガが使用されている。

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