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解説

世界最長の無人運転鉄道システム

アラブ首長国連邦のドバイは、経済成長が著しく、人口増加による市内の交通渋滞が深刻なものとなっていた。これを解消すべく計画されたのが、中東では初となる都市交通鉄道である「ドバイメトロ」で、ドバイ国際空港と経済特区ジュベル・アリを結ぶレッドライン(第一期)と、物流拠点のエアポートフリーゾーンとヘルスケアシティを結ぶグリーンライン(第二期)で構成される大型プロジェクトである。列車は完全自動の無人運転システムとなっており、無人運転としては世界最長の鉄道である。

プロジェクトは駅、トンネル、高架橋、車両基地などの土建構造物からすべての鉄道システム、さらに3年間のメンテナンスを含む設計施工フルターンキー契約で国際入札が行われ、当社JVと鉄道システムを担当する三菱重工業・三菱商事のコンソーシアムで受注した。

第一期工事は2005年8月に着工。150万㎥を超えるコンクリート、30万tの鉄筋、5万tの鉄骨による構造物を約2年で完成させ、建築設備工事、鉄道システム工事に引き渡さなければ開業に間に合わない、厳しいスケジュールであった。2006年7月には第二期工事もスタートし、ピーク時にはJVスタッフが1日4,000人、作業員は3万人以上が工事に従事した。

構造物の完成後は、建築設備工事および鉄道システム工事が進められたが、発注者の「世界に誇れるものを作りたい」という思いから、数々の設計変更が行われた。具体的には、駅、操車場、駐車場内外装の高品質化であり、一部は高級ホテル並みの内装仕上げとなっている。主要幹線道路シェイクザイード道路と並行して走るレッドラインの18の駅では、道路の反対側と駅を結ぶ100m近い歩道橋すべてに動く歩道が設置されている。

2009年9月9日、「9-9-9」という象徴的な日に、ドバイメトロは無事開業を迎えることができた。