おおばや氏とぼく「浮く街」篇
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FUWWAT2050
空中都市構想未来を拓く技術といわれるナノテクノロジー(※1)。あらゆるものの超小型化・超軽量化を叶えたこの技術が、もしも建築空間に応用されたら。ナノテクノロジーが創造する新たな建築スタイルの一つとして大林組が構想した未来空間が、空中に浮く都市「FUWWAT(ふわっと)2050」です。
空に浮く街が建築の基本を覆す
古代エジプトのピラミッドから、現代の超高層ビルまで。変わらず共通する建築の基本は、「下から積み上げる」ことでした。しかし大林組は、これまでにない軽くて強い素材の登場により、そこに大きな変化が起こる可能性を考えたのです。それが、「FUWWAT2050」。薄い膜と軽いフレームでできた街をワイヤーで吊る、まったく新しい構造の都市空間です。
設置場所は、都市の沿岸部の地上30mの高さ。「病院・公共サービス施設棟」「業務・商業施設棟」「住宅棟」の3棟で一つの街を構成します。高すぎず低すぎない一定の高さに紡錘形(葉巻型)の棟を設置することで、海面上昇や高潮、津波に対応しつつも風の影響を抑えられます。
街を支えるナノテクノロジー
「FUWWAT2050」建設構想を支えるのは、主に街本体を覆う空気膜をつくる「セルロースナノファイバー」と、空気膜を支えるフレームや街を吊るワイヤーをつくる「カーボンナノチューブ」という2つのナノマテリアルです。
セルロースナノファイバーは植物由来の物質で、樹木だけでなく木片、稲わら、海藻などからも採取・製造できる持続型資源です。軽くて鋼鉄の5倍も強いうえ、透明性が高く熱膨張性も低いため、街を構築する膜に最適なのです。一方、カーボンナノチューブは炭素繊維の物質で、超軽量なのはもちろん、引張強度は鋼鉄の375倍で街を支えるのに適した強度のある素材です。これら2つのナノマテリアルにより、棟の総重量は従来の同規模のビルの約10分の1という軽さを実現しています。
また、これらの素材は構造材以外としての機能も持ちうるのが特徴です。空気膜には断熱や耐火、太陽電池などの機能を、フレームには換気や照明、床には室温調整の機能を組み込むことで、より快適で安全な生活が可能です。
波打ち際での空中施工は困難なため、フレームや空気膜は工場内で自動施工されます。その後、建物全体にヘリウムガスなどを充てんすることで、浮力を利用して設置場所まで輸送、仕上げ工事が行われます。
これから住む街が、飛行船のように浮いてやってくる。そんな驚きがいつか現実となる日を想像しながら、大林組は今日も挑戦しています。
※1 1ナノメートル(nm) = 100万分の1ミリメートル(mm)
大林組が2014年に発表した
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FUWWAT2050構想
(季刊大林「FUWWAT2050」建設構想) -
失敗は、
発見のある
成功です。 -
妄想癖って、
ほめ言葉です。 -
道に迷うことは、
新しい道を拓くチャンス
です。 -
いい夢には、
人を長生きさせる
力がある。 -
何かをつくることは、
何かをこわすこと
かもしれないです。 -
まだ完成していない
ということは、
まだ進化できる
ということ。 -
今日も、
地球に学んでいます。 -
生きることは
生み出すこと、
ですよね。 -
顔さえ上げれば、
何か見えてくる
はずです。 -
寄り道から
拓ける道、
だってあります。 -
分かる人より、
驚ける人でいたいです。 -
つくるたびに、
つくりたくなるんです。