
楽しく分かる!トンネルの世界
ライフラインの充実に欠かせないシールドトンネルについて学ぼう!
トンネルの歴史シールド工法の歴史
インフラ整備に欠かせないトンネル工事。
中でも都市開発のトンネル工事に採用されているシールド工法は、
どのように発展してきたのでしょうか?

フナクイムシがヒントだった
シールド工法
木造船の材木を食べ、その穴を石灰質で固めて生息するフナクイムシ。その生態をヒントに、フランス技師のブルネイがシールド工法の原型を考案しました。

世界初のシールド工事はロンドンで
1825年、英国・ロンドンのテムズ川を横断する水底トンネル工事で初めて採用。延長は約396mでした。

日本初はどこのトンネル
日本では、1936年に本州の下関と九州の門司をつなぐ関門海底トンネル工事の一部でシールド工法が採用されました。

安全施工で数々の現場で採用
密閉型シールド工法の実用化で、シールド工法は人力から機械に。工事の危険性が激減し、安全に効率よく施工できることから、都市部でのトンネル工事も可能になりました。
トンネルの役割トンネルはどうやって使われているの?
道路や鉄道だけでなく、生活の身近な場所でもさまざまな役割を果たすトンネル。
未来に向けて、新しいアイデアも生まれています。

交通トンネル
道路や鉄道のトンネル、地下道などによって早く、便利に移動できるようになりました。
※ 東九州道 芳ノ元トンネル

生活を支えるトンネル
私たちが毎日使っている電気やガス、水道のためのトンネルも地下につくられています。
※ 新潟空港下水道管渠

地下街、地下駐車場など
地下にあるショッピング街や駐車場などに、トンネルをつくる技術が応用されています。
※地下鉄東西線大手町駅とパレスホテル東京を結ぶ通路
(撮影:川澄・小林研二写真事務所)

未来のトンネル計画は…
東京の地下に巨大トンネルをつくり、ゲリラ豪雨対策に役立て、水陸両用車を走らせる構想も!
※ 広報誌『季刊大林』56号(特集:水都復活)より
機械が大好き!いろんなシールドマシン紹介
シールドトンネル工事に欠かせない、シールドマシンを見てみよう!

泥土圧シールド
カッターで削った土砂に作泥土材を注入し、よくかき混ぜて、チャンバー内を充満させることで、前方の土圧と地下水圧に対抗し、切羽の安定を保ちながら掘削します。

泥水シールド
泥水を循環させ、泥水によって切羽の安定を保ちながら掘削し、掘削した土砂は泥水と一緒に流体輸送されて地上に搬出されます。

気泡シールド
作泥土材の代わりにシェービングクリームのような気泡を注入して掘削します。気泡は掘削した土砂の流動性と止水性を高めて、切羽を安定に保ちます。

DOT(Double O Tube)
複数のカッターを歯車のように噛み合わせた状態で、同一平面に配置したシールド機です。二連形や三連形のシールドトンネルをつくるときに使用します。

省エネシールド
シールド機前面にあるカッターヘッドを外周部と内周部に分けて別々に回転させる「二重カッター方式」を採用したシールド機です。

URUP(ユーラップ:Ultra Rapid Under Pass)
シールド機を直接地上から発進させ、再び地上に到達させる工法です。通常のシールド工法とは異なり、立坑を掘る必要がありません。

自由断面分割
トンネル本体構造物を抱合する小断面に分割した先行シールドトンネルを施工後、各先行シールドトンネル間を内部から切り開き、構造物を構築します。

矩形シールド
地下通路や共同溝のように断面が矩形である場合、従来の円形シールドに比べ、掘削断面に無駄がなく、必要最低限の断面で掘削することができます。

挿入式拡径式親子シールド
直径が異なるトンネルをつくるために通常ならシールド機を2台使うところ、掘削してきた子機を立坑でドーナツ状の親機に挿入合体させて、1台のシールド機として掘削します。

バックフィル
ドーナツ状のカッターを持つシールド機の内側に既設のシールドトンネルを包み込み、外周部を掘削しながら前進した後、後方の空洞部分を充てん材で埋め戻すことで、既設のシールドトンネルを撤去する工法です。
シールドトンネルのつくり方トンネルができるまでを見てみよう!
トンネル工事には用途や場所に合わせて、いろいろな方法があります。
ここで紹介するシールド工法は、都市部の地下を掘削して
下水道や地下鉄、道路などのトンネルをつくるときに使われます。

エントランスの設置
トンネル入口に設置するゴムパッキンと固定する鋼材です。水や土砂が立坑へ入ってくるのを防ぎます。

反力受けの設置
シールド機が前へ進むための設備です。この反力受けを押すと反対方向へシールド機が進みます。

シールド機受け台の設置
シールド機を組み立てるための土台です。

立坑にシールド機を投入
大型クレーンでシールド機を吊り上げて、立坑へ投入し、シールド機が掘削できるように組み立てます。

発進
準備が整うと地中へ向けて発進します。

掘削・排土
カッターで土を切り崩し、その土をトンネルの外に運び出します。シールド機に装備したスクリューコンベヤーと、ベルトコンベヤーまたはずり運搬車を使います。

ジャッキ伸長
カッターを回転させながらジャッキを伸⻑することで、シールドが前へ進みます。

ジャッキちぢめ
・セグメント組立
セグメントが入る幅だけジャッキをちぢめます。エレクターを使って、セグメントを1ピースずつ組み立てます。

セグメント組立完了
セグメントをリング状に組み立てることで、トンネルが崩れるのを防ぐとともに、次の掘削のための反力とします。

シールド到達
シールド機が到達すればシールド機を解体して、トンネルの完成です!