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解説

オオタカの雛の巣立ちを見守り、工事を進める

宇都宮美術館は、宇都宮市の市制100周年事業として市街地に近い丘陵地に建設された。

建物は、周辺の自然林に調和し、地形に合わせて配置され、高さも樹木より低く抑え、自然に溶け込んだ色使いとなっている。施設は、3つの展示棟を中央ホールでつなぐ群棟方式で、展示室はすべて1階に設けられている。展示棟では、収蔵品を変色させる恐れがある、コンクリートからのアンモニアガスを吸着除去できる当社開発の「ダヴィンチ工法」が採用されている。

施工に際しては、発注者から、振動騒音、土壌や地下水汚染、排ガス、夜間照明など、周辺環境への影響を最小限にとどめることと生態系の観察をすることが求められた。さらに、周辺林地への立ち入りも厳に禁止された。杭工事は野鳥の繁殖時期が始まる3月末に完了させるよう指示があり、杭打機を2台から4台に増やして対応。山留め支保工も全面切梁工法からアースアンカー工法に変更して工期の短縮、騒音の低減を図った。

順調に工事が進む中、絶滅危惧種であるオオタカが現場近くの林に営巣したため、雛が巣立つまでの半年間、工事を中断した。工事再開後は、日本野鳥の会の協力を得て、窓ガラスに野鳥が衝突することを回避できるデザインの実験を行った。

約44万労働時間無事故無災害を達成して、無事竣工を迎えることができ、発注者側および設計会社からも高い評価を得ることができた。

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