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解説

新大阪駅前に21世紀のモデルビルを建設する

ニッセイ新大阪ビルは、JR新大阪駅前に建てられた大型オフィスビルで、1フロアの有効面積約3,300㎡は関西で最大規模を誇る。発注者である日本生命保険が、デベロッパーとしての豊富な経験を活かし、安全性・快適性・機能性のすべてにおいて「21世紀の日本生命のモデルビル」をめざして計画された。

外壁は花崗岩打ち込みのPC版で「品格と存在感」を表現し、建物中心の外部吹き抜け空間(ライトウェル)により、自然採光・外気冷房など、自然エネルギーを積極利用することで省エネルギー化を実現している。

敷地は、南側にJR山陽新幹線、東側に国道423号線・地下鉄御堂筋線があり、これらが交わる新大阪駅北口駅前広場に面している。新大阪駅とは屋根付きのペデストリアンデッキで結ばれており、駅北側に展開するオフィス街のゲート的役割を果たしている。

施工上の課題は、敷地が関西でも有数の軟弱地盤であることと、地下階部分が道路境界と近接し、道路下には市営地下駐車場や埋設管があることであった。このため、掘削重機のトラフィカビリティの確保と山留め壁受働側根入れ部の地盤改良を目的として、山留め壁の内側に生石灰杭を平面的に2.0mピッチで施工した。さらに地下工事が掘削面積6,400㎡、最大深さ14.5mと大規模であり、山留め支保工の剛性を確保することと、工期短縮の必要もあって、逆打ち工法を採用した。

敷地が大阪空港への航空機の進入路に当たり、鉄骨建て方用クレーンが高さ制限を受けることになった。セルフクライミング型大型クレーン4台により鉄骨建て方と外装PC版の揚重を行ったが、最上節の鉄骨建て方では、揚重機をブームが短い走行ジブクレーンに切り替えた。

こうした適切な工法の採用と綿密な計測管理や工程管理により、周辺環境への影響を最小限に低減し、工期内に無事完成させることができた。

環境・エネルギー優良建築物マークの交付(2001年)を受け、空気調和・衛生工学会賞〈技術部門〉(2003年)、環境・省エネルギー建築賞〈財団理事長賞〉(2004年)を受賞した。

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