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解説

厳しい施工条件に挑戦した東京駅日本橋口の複合ビル

東京駅北側の旧新幹線総合司令所跡地に計画された丸の内中央ビルは、地下に東海道新幹線の保守設備と連絡通路、低層部に東京駅日本橋口コンコース、中層部以上がオフィスとなる複合ビルである。外装は4階までは石貼りとDPG構法によるガラススクリーンで安定感を演出し、4階以上はアルミカーテンウォール、アルミパネル、アルミスパンドレルとして、軽快感を表現している。

4階から上は東京駅の新幹線ホーム上に13mオーバーハングするダイナミックな形状となっている。この部分の耐震対策として、南北面にブレース型の耐震装置、東西面に速度依存型の軟塑性ダンパーが採用され、屋上棟屋部にハットトラスを設けている。また主要な柱12本にはCFTを採用している。基礎は地下水による浮き上がりを考慮し、永久鉛直アンカーを設置している。

設備面では熱線反射ガラスに加え、室内のインナーサッシとの間に空気を流し換気するエアバリア方式を採用し、快適なオフィス環境の構築と省エネルギー効果を考慮して、氷蓄熱システムを導入している。

施工においては、新幹線営業線に近接し、作業スペースが限られているうえに、駅前広場のバス営業や駅利用者に支障を来さないなど、厳しい施工条件となった。安全面では、施工性を考慮して新幹線ホーム側にスライド式防護台を採用、鉄骨継手を溶接からHTB(高張力ボルト)に変更し、外周耐火被膜をセラタイカとするなど、資材や火花の落下・飛散防止に万全を期した。

新幹線ホーム上にせり出している南側の工事は、深夜帯の3時間半しか作業ができず、北側もバスターミナルの安全確保のため、綿密な計画と何重もの安全設備を施した。さらに廃棄物のゼロエミッションにも取り組み、混合廃棄物の発生量を0.6kg/㎡にとどめた。

こうして、厳しい施工条件をクリアし、無事予定通り竣工することができた。

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