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解説

特徴的な外観を持つ大阪市の汚泥集中処理施設

阪神高速道路湾岸線の大阪北港付近から海側に目をやると、金色のボールをいただく青いキューポラと金色、赤色に彩られたひときわ目を引く建物が見える。これが舞洲スラッジセンターだ。特徴的なデザインは、環境保護で著名なオーストリアの芸術家フンデルトヴァッサー氏によるもので、金色のボールやキューポラは人々に将来の夢と希望を与え、赤いストライプは溶融炉の炎をイメージしたものである。

舞洲スラッジセンターは、大阪市建設局(旧、大阪市都市環境局)が、老朽化した汚泥焼却設備の更新と汚泥の有効利用の促進のために建設を計画した汚泥集中処理場である。大阪市内の各下水処理場から圧送管を通じて送られてきた汚泥を脱水・溶融処理し、生成されたスラグは建設資材として有効利用される。

当社JVは、このプロジェクト第1期工事のうち土木・建築工事を担当した。本センターがスラグ生産プラントとして稼働することを最終目的とし、建設工事を担当する当社JVをはじめプラント工事、設備工事など関係各社が緊密な情報連絡、工程調整を行った結果、試運転も工期内に終了させることができた。

工事においては、地中連続壁に当社の「OWS工法」、キューポラ本体の外筒躯体には安全性向上と工期短縮・精度向上のため「スリップフォーム工法」を採用している。

特徴的な外観のデザインを実際に施工するにあたっては難しい面もあったが、出来栄えには発注者側から高い評価を受けた。外壁の「赤タイル」と装飾柱の「リングタイル」は、原色を多用し、直線を排除したもので、「自然界に同じものは2つない」とするフンデルトヴァッサー氏の設計趣旨を踏まえてのものである。タイルは設計段階ではクラッシュタイルもしくは陶板タイルが指定されていたが、強度の点から磁器タイルに変更し、貼付けにおいては大きさや目地が揃いすぎないなど、設計者の意図に沿うよう施工した。

2004年3月、第1期工事は無事完成。全体の統括安全管理は当社JVが担当し、プロジェクト全体で226万時間(当社JVで167万時間)全工期無災害を達成、厚生労働大臣表彰を受けた。

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