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  • 資料提供:関西電力
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解説

世界最大級の貯炭サイロに新工法で挑む

2004年8月に運転を開始した関西電力舞鶴発電所1号機(出力90万kW)の貯炭サイロ(10万t×3基)を、当社JVにて施工した。サイロは直径60m、高さ77m、容量10万tで、世界最大級であった。

10 万tの石炭を貯えるサイロの基礎には、当社が開発したWF杭が採用され、地震時のねじれ震動に対して十分な剛性と耐力が確保されている。

工事には、新たに「スリップアップ工法」を採用。コンクリートを連続的に打設しながら型枠の上昇を行うスリップフォーム装置に、大規模な屋根鉄骨を搭載して同時にリフトアップを行った。従来、小型のセメントサイロで、スリップフォーム装置に数十tの屋根鉄骨を載せて施工した例はあったが、当工事のように大規模な屋根鉄骨(800t)での実施例はなく、当社が開発・実用化したものである。従来工法よりも優れている点は、屋根鉄骨のリフトアップ用設備が不要になること、工期短縮が図れること、屋根鉄骨を小型クレーンにより安全に組み立てできること、などである。

さらに現場でも新工法の特長を活かした施工技術を考案し、大幅な省力化を進めた。鉄筋工事では型枠および作業床を支持するヨークの間隔を約8mと大スパン化し、鉄筋とPS用シース管をあらかじめ地上で大型ユニットに先組みして建て込むことが可能となった。型枠には上昇時の抵抗の低減とコンクリートの付着防止のためテフロン型枠、コンクリートには自己充填性が高く、締固め作業の省力化が図れる高流動コンクリートを採用、打設設備としてパンタグラフ配管と自動ゲートバルブを設置して省力化を図った。

こうして、当社の保有技術を結集した工事は無事完了し、工期短縮・品質向上・経済性・安全性などのさまざまな点でスリップアップ工法の優秀性が証明された。

さらに、2006年に発注された2号機の石炭サイロ2基の建設も受注し、スリップアップ工法に改良を加え、1号機の3分の2という工期短縮の要請に応えた。

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