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解説

最新技術と伝統技術が融合した平成の名建築

京都迎賓館は、平安遷都1200年記念事業として国内2つ目の迎賓施設として計画され、和風現代建築技法が採用された。建設地は京都御苑内の京都御所東側、仙洞御所の北側に決定され、日本の歴史や文化への理解を深める一助となった。周辺の歴史的景観や自然環境との調和に配慮して、平屋建てを基本とし、穏やかで高さを抑えた入母屋造りの屋根と築地塀を周囲に巡らせ、清らかな水を中心とする庭を施設が取り囲む構成となっている。

最新技術と伝統技術の融合が大きなテーマ。高度で繊細な内部仕上げにバランスさせるために、躯体は100年以上の長寿命化を図る必要があった。鉄筋の継ぎ手は機械式継ぎ手を、地下の外壁には外防水を、雨がかりスラブには高耐久防水を採用し、外壁には外断熱材を躯体打設時に打ち込んだ。屋根の勾配コンクリートの施工精度を上げるため、PC化を図った。屋根葺き材に本瓦葺きの2倍の寿命を期待できるニッケルクラッドステンレス版を採用した。外壁にはセラミック加工した付け柱、無目、長押を取り付け、外断熱材を下地として樹脂入りじゅらく壁土塗り仕上げとし、外壁全体の長寿命化を図っている。

伝統技能では、数寄屋大工による木工事をはじめ、左官、瓦葺き、建具、表具、截金、錺、畳、漆、蒔絵、絹織物、緞通、刺繍、庭園、石造、竹垣など、現代の名工たちが集結し、匠の技を存分に発揮した。こうした職人たちの技術を理解するために、JV職員向けに伝統建築についての勉強会や各工房の見学会を実施した。

施工場所が京都御苑の中であることから、自然環境に配慮した「環境配慮型施工」を掲げ、工事の各段階で、地下水質への影響監視、騒音・振動防止、大気汚染防止など13項目の対策を実施した。

「平成の名建築と評価される京都迎賓館」をスローガンに、関係者全員が心を一つにした結果、無事完成の日を迎えることができた。世界に誇る日本の伝統技術は、当社の次世代に継承されることとなった。

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