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解説

設計施工により高い要求性能を満たしながら短工期を実現した大規模工場

A-1棟は、製品の設計、試作、組立てを取手事業所に集結させることで、製品開発から販売開始までの期間短縮をめざした事務機のアッセンブリー(最終組立)工場である。当社は、同工場を設計施工で担当した。

A-1棟は、申請上既存の約4万㎡の建屋の増築であり、合算すると延床面積11万6,400㎡の非常に大きな建物となった。アッセンブリー工場としての自由度を高めるため大空間が求められ、平面計画上の支障となる階段室数を減らすため、特別避難検証法を用いた設計を採用。防火区画も固定壁を極力減らし、耐火スクリーンを多用した。外装はフッ素焼付大版ALCである。

工期は短く、それを克服するために設計施工の利点を活かし、地中梁メッシュ筋や1階床のスパンクリート採用、パラペットのPC化などにより躯体工事を合理化し、工期短縮を実現した。これにより、発注者からの強い要望であった竣工前の機能検証に十分な時間を割くことができた。品質においては、漏水、断熱、区画処理に加えて塗り床のトラブル防止を重点管理事項とした。特に床は静電気の帯電を防ぐエポキシ系の導電塗り床で、工場機能の根幹となるため、床コンクリートの打設方法、養生方法からクラックを最小にすることに始まり、最終的には平滑度、耐久性などにおいて所定の性能を確保すべく、ワーキンググループを組織してさまざまな角度から事前検討を行ったうえで施工した。

工場の搬送設備も追加受注し、設計、施工、エンジニアリングを通じて、当社の総合力を十分に発揮することができた。

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