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解説

5機のシールドマシンを駆使して、東京の新交通ネットワークを構築

都営地下鉄大江戸線は、都庁前駅を起点として新宿・六本木から両国・飯田橋を経て、再び都庁前駅に戻る環状部(29km)と、新宿から光が丘(14km)を結ぶ鉄道新線からなり、環状部は全28駅のうち21駅でほかの鉄道と乗り換えが可能な、地下の山手線とも位置付けられる交通ネットワークである。当社は当工事で2つの駅(国立競技場前駅、代々木駅)とトンネル部の工事(外苑・代々木工区)で構成される青山一丁目から新宿までの延長3,098mを他社と共同で施工した。

駅部開削には、掘削規模、地盤条件および経済性などを検討した結果、国立競技場前駅の土留工法では安定液固化連壁、代々木駅ではRC地中連続壁(一部安定液固化連壁)を採用。いずれも水平多軸回転式掘削機を用いて施工した。

工事は詳細設計付きで出件され、電気、ガス、下水道、電話線、道路橋基礎など大型既設構造物の防護方法につき各施設管理者と協議し、承認を得ながら詳細設計および施工を進めた。代々木駅をシールド工事の発進基地とすると、駅構築を並行して作業できないため、国立競技場前駅用地内にシールド基地を設置することとし、代々木シールドの工法を泥水式に変更、施工順序も、千駄ヶ谷シールド、神宮シールド、代々木シールドとすることで、代々木シールドの掘削土を先に完成した千駄ヶ谷シールドトンネル内を流体輸送することで、代々木駅工事と代々木シールド工事区間を並行して進めることを可能とした。

シールド工事は、1区間が複線、2区間が単線2連のため、計5機のシールドマシンを、1996年9月から投入し、1997年春に2・3号機、夏に4号機、秋に5号機が発進し、大きなトラブルもなく、3,966mを掘り進み、無事先行開業に間に合わせることができた。

大江戸線の各駅は個性あふれるデザインが施されているが、国立競技場前駅の壁は3種類のタイルの組み合わせで躍動感を表現し、天井は水泳の波がモチーフになっている。代々木駅は伝統ある代々木の杜をテーマにデザインされている。

なお、当社は大江戸線で当工区のほか新宿駅と練馬春日町駅を施工している。

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