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解説

地元との交渉と創意工夫を重ね、画期的な新工法で完成に導く

名古屋市と三重県亀山市を結ぶ高速幹線道路の東名阪自動車道は、名古屋市外周部を通る約66kmの環状道路である。当社は、そのうち平針区間で往復4車線の道路トンネルを他社と共同で施工した。

2005年開催の「愛・地球博」までに完成させる予定であったが、沿道住民などの反対があり、約1年遅れで本格着工した。交渉成立のポイントとなったのが、高さ8mの遮音壁の設置。騒音対策として道路完成後に設置する計画であったが、工事中の騒音対策として先行設置し工事完成時には本来の位置に移設するというもので、JVから提案し、承認されて着工が可能になった。

施工においても工期短縮、品質確保のため、創意工夫を重ねた。

その一つが、掘削深15mを2段切梁で施工したことである。計画ではH-500を多量に使用した4段切梁支保工であったが、SMWにφ850mmの大口径を使用し、剛性の大きな芯材を用いることで、切梁支保工を水平方向に5m、上下方向に8m間隔で段数を2段にまで低減した。これにより土留め壁に対しては、鉛直精度の向上、芯材変位の抑制、止水性の向上が図れた。切梁については、H-500を含めて使用数量を約30%削減、作業空間を広く取れるようになったことで施工性・安全性も大きく向上し、掘削・土留め工期を当初予定より4ヵ月短縮した。

二つ目は、セパレータを使用しない「ノンセパ工法」の採用により側壁の漏水をゼロにしたことである。側壁型枠の型枠材にメタルフォーム、縦端太には剛性の高いトラス形状の梁部材を使用することで、型枠を大型パネル化した。側壁コンクリートの側圧は打設範囲外に縦端太の支点を設けることで、打設する側壁コンクリート部分に貫通するセパレータをなくしたものである。結果、漏水はまったく確認されず、またクラックの発生もはるかに少ない結果となり、発注者から品質に対する積極的で独自な取り組みに対して高い評価を受けた。

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