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予定より2年半早まった工期を守り、巨大駅地下に新駅を建設

横浜高速鉄道みなとみらい線は、「みなとみらい地区」を縦断し、横浜駅から元町・中華街駅までを全線地下構造で結ぶ鉄道新線で、東急東横線と相互直通運転を行うことで横浜都心と東京都心を直結している。

当社JVは、1日200万人が利用する巨大ターミナル横浜駅の直下25mに、高架橋をアンダーピニングしながら地下5層構造の駅を新設する工事を担当した。

新駅は横浜駅西口寄りの地下に建設されるが、西口には駅ビルやホテルが隣接しており、工事用道路が確保できなかった。そこで東口から線路10線を地下1階で横断する工事用道路を構築。作業が可能な時間は最終電車から始発電車の間のわずか3時間程度という条件の中、2年をかけて工事用道路が完成した。ここで発注者から「開業を2年半早めたい」との要望があり、3つの対策で工期の短縮を図った。

一つが、超低空頭オーガー式杭打機「24MASA-A(ニシマサエース)」。2.5〜3.0mと天井が低い地下コンコース工事において、限られたスペースでも効率良く杭を打設することができた。

次に、覆工杭や仮橋脚が林立しているうえに、高さが6m程度しかない環境でRC連続地中壁工事(壁厚80cm、深さ28〜30m、延長550m)を進めるために、路下式ハイドロフレーズ掘削機「HFA-4RCⅡ」を2台導入。それぞれ「ミナト君」「ミライ君」と命名された。掘削用のカッター部分が360度回転するため、本体がどの方向を向いていても掘削でき、狭い地下空間で非常に効率よく作業を進めることができた。

そして工期短縮に最も貢献したのが、地下工事の段階施工である。施工範囲を3ブロックに分け、RC連続地中壁工事が約3分の1進むごとに、仮設の遮水壁を施工。遮水が完了したブロックから本体柱の設置や駅部の地下掘削などを順次進めることにした。これにより3つのブロック内で常に作業を進めることができた。地中壁の化粧として、スムースボードを採用した。

地下駅を支える本体柱や仮橋脚の設置には、深礎工法を採用。柱より一回り大きな穴を人力で掘り、その中に柱を設置するもので、直径2.6m、深さ約20mの穴を計83本掘削した。

地上を走る列車の運行に支障が出ないように、細心の注意を払って工事を進めて約14年、みなとみらい線横浜駅は無事完成した。

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