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解説

大阪の中心部で深度78mの地中連続壁を構築

京阪電鉄中之島線建設工事は、大阪の東西交通ネットワークの充実と、中之島西部地区再開発の進展に伴って発生する交通需要に対応するため、大阪国際会議場付近の中之島駅から京阪本線天満橋駅に至る建設延長約2.9kmの全線地下式の新線建設工事である。当社JVは、4つの駅のうち、最も地下深く計画されたなにわ橋駅を施工した。

工事には開削工法を採用した。地中深くに高圧力の被圧地下水層があり、帯水層の下まで達する地中連続壁を設置して遮水し、地下水を抜いて減圧する必要があった。深さ78mに達する地中連続壁をつくった例はほとんどなく、コンピュータによる精度管理を行いながら作業を進めた。土留め壁の芯材にH-800×300の鋼材を用いたSC地中連続壁を基本に、施工条件に応じてNS-BOXやNOMST工法を採用。約1年をかけて漏水のない高品質な連続壁が完成した。これにより、その後の開削などの工事を順調に進めることができ、発注者から求められた工期短縮に応えることができた。駅の躯体は部材の厚いマスコンクリートで、ひび割れ発生が懸念されたため、マスコンクリートのひび割れ予測解析によりひび割れ対策を行った。

現場周辺には大阪を代表する多数の文化施設が存在するため、環境に配慮し、掘削土砂の搬出には、河川に隣接している地理的特性を活かして船を利用した。隣接する大阪市中央公会堂や大阪市立東洋陶磁美術館などレンガ造りの洋風建築との調和を図り、土佐堀川側の仮護岸は200mにわたり本物のレンガで築造した。

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