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  • 提供:羽田再拡張D滑走路JV

解説

「羽田から世界へ」――海上に誕生した羽田空港4本目の滑走路

東京国際空港のD滑走路整備事業は、羽田空港の南東沖に新しい滑走路島を建設することで4本目の滑走路(2,500m)を新設するものである。滑走路の3分の2が埋立部、3分の1が桟橋構造という、世界でも珍しいハイブリッド形式となっている。

本工事は、15社のJVによる設計施工一括発注工事で、耐震性能をはじめ高度な品質要求を満たすだけでなく、100年間の長期耐久性を実現する維持管理に配慮した設計、さらに現空港を稼働させながら41ヵ月の短工期で建設するというプロジェクトであった。

施工は埋立関連で4工区、桟橋関連で4工区、ジャケット製作の計9工区に分かれ、当社はこのうち連絡誘導路工区(代表会社)、護岸埋立Ⅲ工区、およびジャケット製作工区に参画した。

連絡誘導路は、現空港とD滑走路を結ぶ飛行機の通路(全長620m)である。多摩川河口の水流を堰き止めないように配慮し、鋼製パイプトラス構造のジャケットを脚部とした桟橋構造が採用され、一部が橋梁構造になっていて、下を小型船舶が航行できるようになっている。全40基のジャケットは、製作工場から海上輸送され、東京湾沿岸部で上部構造と下部構造を一体化した後、1,600t吊起重機船によって基礎杭上に据え付けた。ジャケットや上部PC床版といった主要部材を徹底的にプレキャスト化することで、気象・海象条件に左右されることなく、大規模急速施工を実現した。

護岸埋立Ⅲ工区では、工区延長430m、埋立幅474m、盛土厚さ最大約42m、埋立材は山砂約340万㎥、石材約310万㎥、改良土埋立工約102万㎥を使用。最大で月に50万㎥の急速施工を実施するために、使用する土取場は30ヵ所以上に及んだ。土質特性の異なる盛土材の品質管理を行うために、新しい施工管理技術を開発・運用し、最大沈下量が8mとなる大規模急速施工による高盛土を41ヵ月で完成させた。

海上での作業は、強い海風や高波などの自然条件に大きく左右され、現場に行くにも資材を運ぶにもすべて船を使わなければならず、陸上での工事とは異なる苦労も多かった。離着陸する航空機の飛行ルート直下は、高さ制限が設けられているため、クレーン作業が規制されることもあった。こうした厳しい条件下で、365日24時間体制で綿密なスケジュール管理で施工を進めた結果、2010年8月、羽田空港D滑走路は完成した。

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