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  • 連絡橋下部工

解説

ポートアイランド沖に誕生した海上空港

神戸空港は神戸市によって、ポートアイランド(第1期)の南約3km、三宮から約8kmの沖合いを埋め立てて建設された海上空港である。当社は、神戸空港島の護岸工事、造成工事、連絡橋下部工事を他社と共同で担当した。

護岸築造工事は、厚さ30mに達する沖積粘土が堆積する水深約16mの地盤上に緩傾斜式石積護岸を築造するもので、当社JVは空港島南側の航空保安施設周辺の延長990mを担当した。地盤改良のための敷砂、サンドドレーン工、捨石、盛砂の工程を経て、2001年10月に開口部を除く全周を完了した。

海面埋立完了後、滑走路、誘導路、およびローディングエプロンなどの空港施設用地154haの造成盛土を、支給される内陸土砂405万㎥と購入土砂350万㎥、および再生砕石、鉄鋼スラグ、水砕スラグ112万㎥により路床天端まで行った。2003年7月から始まった盛土工では、加速度計とGPSを振動ローラーに搭載した締固め管理システム(αシステム)を適用した高度な品質管理を実現。ブルドーザにGPSを搭載し、無線LANシステムにより1km以上離れた事務所と重機間でリアルタイムに施工情報の受け渡しを行って、施工指示や稼働状況のモニタリングを実施するGPS施工管理システムを全国で初めて採用した。これにより重機作業範囲に作業員が立ち入ることを減らし、無事故で工事を竣工することができた。また所定の盛土品質を満足させる対策として、単粒で透水性に優れ、潜在水硬性を有し、低コストで大量に入手できる水砕スラグを用いた路床改良を実施し、軟弱土砂の改良工法として発注者と共同で特許出願を行った。神戸空港人工ラグーンではエコルム工法を適用している。

空港島とポートアイランドを結ぶ連絡橋は、車とポートライナーが利用する1.2kmの併用橋で、橋台2基、橋脚8基で構成されている。当社は、このうち中央部の橋脚3基を他社と共同で施工した。鋼製橋脚は梁・橋柱・フーチングを一体化したものを工場で製作し、国内最大級の起重機船で吊り上げて海上運搬し、現場に据え付けた。3基を1日おきに延べ6日間をかけて設置する計画で、運搬当日は午前1時半から作業を始め、終了は午後5時(15時間半)であった。この工程が工事のクライマックスで、無事終了したときは、関係者全員がほっと息をついた。その後、鋼管杭の海底への打ち込み、フーチングへのコンクリートの水中打設を行った。

工事を行った水域は多数の一般船や漁船が航行する水路であり、工事船舶との衝突事故を防止するための管理に注力した。加えて工事による海水汚濁の防止も重要な日常業務であった。

このほか、当社は新設されたポートライナーの神戸空港駅土木・建築工事を他社と共同で担当した。

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