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解説

大規模なリフトアップ工事を行ったマルチドーム

1993年1月、「(仮称)大阪ドーム」企画・設計・施工提案競技が実施され、当社・日建設計・電通共同体案が竹中グループ案とともに優秀作に選ばれ当選した。その後二つの優秀作を結合し、実施設計が進められ、1994年7月、着工を迎えた。

大阪ドームは、東京ドーム、福岡ドームに続く日本で3番目のドーム球場で、スポーツだけでなく、コンサート、各種イベントにも対応できるイベント指向型マルチドームである。アリーナ部には、開催イベントにより天井の形状を変化させることのできる「スーパーリングシステム」を採用、ドーム天井に吊り下げられた7枚のドーナツ状のリングが上下に昇降することにより、ドーム内の容積を変化させて最適な音響・空調環境を作り出している。ドーム屋根の周囲を包む波型の部分(9階)には多目的スペース「スカイホール」、その下の6〜8階にはスポーツ・イベントの観戦施設「ビスタルーム」、2階には商業施設「グリンドムモール」が設けられている。その他、人工芝巻き取り装置(アリーナの中央部分、全体の4分の3を約1時間で巻き取り)や、移動観覧席(開催イベントに応じてアリーナ形状を変更)などが設置されている。

工事の最大の山場となったのが、1996年1月に行われたドーム大屋根のリフトアップ。鉄骨で構成された三角形をいくつも組み合わせて作られた骨組みにポリカーボネート板とステンレスシートが貼られた半球形のドーム屋根を、18基のジャッキで約50mリフトアップした。リフトアップする屋根は直径132.4m、高さ33m、重量は5,500t。当日はマスコミも含め約5,700人の見学者が見守る中、午前7時の日の出とともに作業を開始。荷重や上昇速度をジャッキごとに計測し、コンピュータで水平になるよう集中制御しながら、9時間以上をかけて50mの高さにまで吊り上げることに成功した。

本体着工後33ヵ月、延労働時間620万時間、全工期無事故無災害で工事は竣工。1997年3月にオープンを迎えた大阪ドームは、大阪の新名所の地位を獲得した。

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