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解説

日本初の大型PFIを当社グループが担う

神奈川県立保健福祉大学は、社会の高齢化に備え、保健・医療・福祉の総合的能力を持つ人材の養成と卒業後の教育機能、専門実践研究機能を併せ持つ大学として設置された神奈川県初の4年制県立大学である。

同大学は、日本初の大型PFI事業として大きな注目を集めたもので、当社・東畑建築事務所のグループ案が優秀提案に選定され、その後の国内PFI事業における当社の実績拡大のさきがけとなった。事業提案では、設計・施工に加え、資金調達・維持管理といった幅広い項目に対応し、当社の総合力を発揮できたことが選定の大きなポイントであった。

設計の特徴は、高さ25m、長さ180m、幅60mの大屋根で、教育研究棟(教育研究ゾーン)と向かいの低層棟(管理厚生ゾーン)の間を覆う大空間を作り上げている。コンセプトは「ひとつ屋根の下」である。大屋根は、さまざまな環境対策・省エネルギー手法が施されたエコロジカルルーフで、太陽光発電、太陽熱温水パネル、東京湾からの海風による風力発電、雨水利用、屋上緑化、コージェネレーション、氷蓄熱などの機能を持っている。

大屋根は12本の柱で支える構造だが、屋根が柱から10mも跳ね出しているため、先端の下がり具合を何度も計算して設計を行った。常に海風の影響を受けるため、脚部にピン支承を採用し、これにより強風や地震による揺れに柔軟に対応することが可能になっている。さらに大屋根と教育研究棟は一体の免震構造になっており、積層ゴム、オイルダンパー、摩擦皿ばね支承が採用されている。

軒天部分の仕上げには、品質確保や耐候性の点からフッ素樹脂焼付塗装を施したアルミスパンドレル(アルミ合金押出成形型材)を採用。軒天の面積は約6,000㎡もあり、アルミスパンドレルの幅はわずか100mm。これをすべて手作業で貼り付けるため、大屋根まで足場を組み、延べ1,000人の作業員で仕上げを行った。

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