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解説

商都・大阪の歴史的建造物を保存した高層オフィスビル

1935(昭和10)年に当社が施工し、長らく北浜のシンボルであった大阪証券取引所ビルの建替え工事である。低層部は旧ビルの正面ドーム外壁を解体・保存し、ドーム内部のエントランスホールと両袖部外観を再現。高層部は透明感のあるガラスカーテンウォールを採用し、現代的な表情を持つ最新鋭のオフィス空間として生まれ変わった。

旧ビルの解体では、保存する外壁は補強措置を施したうえで切り離し、エントランスホールの大理石の壁および床石については、現在では入手できない産地のものがあり、慎重に回収した。

敷地北側には水平距離約5mの位置に京阪電鉄の地下駅、西側には大阪市営地下鉄堺筋線があり、掘削による周辺への影響を抑制するため逆打ち工法を採用、山留めはOWS工法によるRC地中連続壁とし、仮設山留め用途だけでなく、WF杭や耐震壁、地下外壁の一部といった本体構造として利用した。

敷地いっぱいに計画された高層部では、周辺への飛来落下事故を防ぐため、外周部スラブを現場組立ての在来工法から工場製作のフルPC版に変更し、屋上目隠しパネルはユニット化した。外装カーテンウォールには海外製品を採用、品質確保のため、準拠規格とJIS規格との比較調整、品質管理・検査体制の確立などを行ったうえで、石の組込み、ガラス取付け、シーリングまでをすべて海外工場においてユニット化した。

2004年12月、無事竣工式を迎え、北浜の新しいランドマークが誕生した。保存された旧ビルのエントランス部分は開放されており、商都・大阪の歴史に思いをはせることができる。

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