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解説

100年以上の使用に耐えるロングライフビルをめざす

日本生命丸の内ビルは、丸の内1丁目1街区開発計画で生まれた「丸の内オアゾ」の3棟の業務棟の一つである。日本生命保険の東京本部として計画され、長寿命・フレキシビリティ・環境への配慮をテーマとし、100年間の使用にも耐えられるロングライフビルをめざしたものである。

外観は正統的な頂部・胴部・基壇部の3層構成で、胴部は制振部材を組み込んだダブルマリオンを外装デザインの基調とし、端正・安定感・親しみやすさを表現している。基壇部の外観は重量感のある花崗岩の荒ビシャン仕上げとブロンズのユニット等圧サッシ、ブロンズグリルなどを用いて、風格を持った正統なデザインとなっている。また、丸の内地区がこれまで培ってきた歴史と景観を継承するため、歴史的な31m(百尺)の高さで高層部を後退させ、駅前広場を囲むほかの建物との調和を保っている。

構造体は100年以上の長寿命をめざし、強く柔軟な大組架構形式が採用されている。改修が容易に行えるように、トイレ・機械室・縦シャフトに将来分の余力を持たせると同時に複数を分散配置している。

環境についても、大開口の窓の熱負荷を抑制するために、複層Low-Eガラス、電動ブラインド、エアバリアファンを組み込んだエアフローシステムを採用、ナイトパージ(夏期昼間に蓄積された建物内部の熱を夜間換気し冷房負荷を軽減する)や中間期の自然換気のために中央制御の電動開閉換気口が設置されている。

作業員の入退場管理に、目の虹彩を利用した本人確認システムを採用。建設現場では初の試みで、作業員数の把握や工程管理の省力化・合理化にもつながった。

日本鋼構造協会業績表彰業績賞(2006年)、サステナブル建築賞〈理事長賞〉(2007年)を受け、日本建築家協会優秀建築選(2006年)、日本建築学会作品選奨(2007年)に選ばれた。

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