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解説

日本初、PCa部材を用いたバンク(走路)をつくりあげる

老朽化した旧施設をリニューアルするいわき平競輪場の建設工事において、当社JVは1周400mのバンクと約8,000人を収容するメインスタンドを施工した。

お椀が宙に浮いているように見えるバンク(走路)は、800個のPCa(プレキャストプレストレストコンクリート)部材を52本の柱で支える構造になっている。バンクの内側に、全周ウッドデッキによるテラスを設けたのも競輪場としては初の試みで、ここからレースを楽しんだり、各種イベントを開催したりと、さまざまな利用法が可能となっている。

レースを完全に休止できるのはわずか12ヵ月間、その期間内もほかの競輪場で開催されるレースのモニター観戦や発券のためにお客様が来場する状態で、既存施設を利用しながら段階的に工事を進めた。

PCa部材によるバンクの施工は日本初の試みであり、実物大のモックアップによる試験施工を含め、綿密な事前検討を行った。重量の大きなPCa部材の組立てにおいては、厳密な精度が要求されたため、精度確保と工程短縮のために3次元計測システムを導入して対応した。

全面ガラス張りのメインスタンドの正面ガラススクリーンは高さ17m、幅90mの巨大なもので、バンク側に11度傾斜している。これだけの大きさのガラススクリーンが傾斜して設置される例は国内初であった。これを鉄骨造の屋根から吊り下げるため、ガラスの自重や床コンクリートなどによるたわみ変位を計算に入れながら施工した。

2006年10月にリニューアルオープンを迎え、いわき平競輪場は開放的なアミューズメント施設として生まれ変わった。

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