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解説

厳しい施工条件を克服した東京駅日本橋口のランドマーク

東京駅日本橋口に計画されたサピアタワーは、オフィス、コンファレンス、ホテル、店舗から構成される複合ビルである。

敷地は、東面をバスロータリーと歩行者通路、南面を東海道新幹線と新幹線運行本部ビルおよびJR東海丸の内中央ビル、西面を東北新幹線とJR在来線および呉服橋高架橋、北面を国道1号線永代通りと地下鉄東西線に囲まれている。また工事エリア内には地上にJRの物流動線、地中には南西部に高圧ケーブルが2回線とNTT通信線が入った電気洞道と立坑があり、敷地の中央には駅の幹線下水が横断している。北側には近隣ビルの下水本管と中圧ガス管・ガバナー引き込み・上水と中水の水道管、電気ケーブルが埋設されている状態であった。さらに東海道新幹線側30mの範囲と東北新幹線側8mの範囲の作業時間は、深夜0時30分から5時30分まで、バスロータリー側の作業時間は23時30分から6時までと制限され、突貫工事が予想された。

厳しい施工条件を考慮し、山留めOWS壁の掘削には新幹線高架から突き出ない低空頭掘削機を採用、近接建物と工作物には計測機器を設置して鉛直・水平変位と傾斜角の自動変位測定を行った。地中障害物は資料のないものが多く、撤去にはオールケーシング回転掘削工法を採用し、地下工事は逆打ち工法とした。現場内に作業ヤードを確保することが困難なため、東側駅前広場上部に構台を設置して作業ヤードを確保した。

列車妨害や第三者災害の防止など、安全確保を最重点管理目標とし、休日も含め昼夜交替の勤務体制を敷いた。職員、協力会社、作業員が一致協力して厳しい施工条件を乗り越え、予定通り工事を終え、2007年3月にサピアタワーは開業した。

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