写真

解説

仙台にトヨタ車の生産拠点をつくり上げる

2007年、トヨタ自動車東日本(旧、セントラル自動車)は、神奈川県相模原市から宮城県大衡村にある第二仙台北部中核工業団地への本社工場移転を決定し、当社が設計・施工で受注した。同工業団地は、宮城県土地開発公社の発注により当社JVが敷地整地工事を施工した。

新たな工場は、プレス工場、車体工場、防錆工場、成形工場、塗装工場、組立工場などで構成され、年間12万台のトヨタ車の生産を想定したものである。

当社は、設計チームと、トヨタ自動車の工事経験者を集めた施工チームの協働によって、高品質な工場建設に取り組んだ。

防錆・塗装・成形工場では、シール材や接着材についても発注者側の検査に合格したものを採用。成分によっては塗料をはじく可能性があるからである。トヨタ生産方式で実践される「見える化」があらゆる面で実行され、上水・工水・ガスのインフラ引込み配管は土中埋設から点検可能なトラフ内配管に変更された。施工要領書・作業指示書ではスケッチやイラストを多用し、末端の作業員にもよくわかるものとした。トヨタ自動車独自の作業資格にならい、高所作業・感電防止の資格をほとんどの作業員に取得させることとし、毎週現場で講習会を実施した。延べ12万㎡を超える建屋を10ヵ月で建設する非常に厳しい工期であったが、1万t超の鉄骨建て方を30台ものクレーンを使って2ヵ月で完了させた。

本社工場の移転に伴って、従業員も数多く転居することになり、地域産業および地域社会の活性化が期待されている。企業誘致の第一弾であるセントラル自動車の移転に続いて、自動車関連企業の進出が相次ぎ、トヨタ自動車の新たな生産拠点が形成されつつある。

地図