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解説

さまざまな合理化工法を駆使した堤高100mを超える多目的ダム

富郷ダムが建設された銅山川を含む吉野川水系は、「四国三郎」と呼ばれる日本有数の暴れ川で、これまで何度も洪水被害を引き起こしてきた。一方、降雨の少ない瀬戸内海側では水不足に悩まされてきた。当ダムは、吉野川水系における5つのダムの最後の工事にあたり、洪水調節機能と水道・工業用水供給および発電を目的とし、四国における20世紀最後の大プロジェクトといわれたものである。当社スポンサー工事で初の堤高100mを超える大規模コンクリートダムであった。

堤体構築に当たっては、合理化工法としてRCD工法、拡張レヤー工法を採用し、1回当たりのコンクリート打設範囲の拡大を図った。大量のコンクリート運搬には、全国で初めて両端移動式のケーブルクレーンによる自動運搬システムを適用。従来工法と比べて、約1割の省力化と工期短縮を実現した。気温の季節的変化に合わせてフライアッシュ混合率が変更できるよう、セメントとフライアッシュを別々に搬入し、合理的な配合の選定と施工が可能となった。

ダムの完成により誕生した湖は「法皇湖」と命名され、湖を見下ろす高台にはJVが立てた施工記念碑が佇んでいる。

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