ダム用コンクリート自動運搬システム(3次元)

軌索式ケーブルクレーンによるダム用コンクリートの自動運搬システム(3次元)

ダム建設工事において、ケーブルクレーンによるコンクリートの運搬および打設は、クレーンの運転操作と打設現場のクレーン合図、コンクリート放出作業での熟練技能を必要とし、さらに典型的な繰り返し作業であるため、その自動化の要請は非常に高まっています。
今回開発したダム用コンクリート自動運搬システム(3次元)は、従来のダム用コンクリート自動運搬システム(2次元)を進化させ、軌索式ケーブルクレーンによる打設個所への直接運搬を全自動化したものです。これは、バッチャープラント、トランスファーカ、ケーブルクレーン、コンクリートバケットなどをコンピュータによって集中制御し、あらかじめプログラミングされた打設手順に従った自動運転を可能にしたものです。

特長・効果

1.生産性の飛躍的な向上

●運搬のサイクルタイムは、従来の熟練オペレーターに匹敵、特に運搬操作が難しいとされる軌索式ケーブルクレーンで誤操作、誤作動のない安定した運転ができます。
●霧などのときでもコンクリート運搬の確実性が向上します。
●トータルで打設効率の向上が図れます。

2.熟練オペレーター不足の解消

●軌索式ケーブルクレーンのオペレーティングは、ほかのケーブルクレーンに比べて高い技能を必要とします。本システムの採用により、熟練オペレーターに匹敵する安定したコンクリート運搬を可能にしました。熟練オペレーター不足という大きな問題に対しての解決策となります。

3.安全性の飛躍的な向上

●コンクリートの運搬を無人化したことによって、人為的な事故をなくすことが可能となりました。
●新しく開発した自動運転システムや各種センサによる事故防止システムの制御を利用することで、より安全性が向上しました。

システムフロー

①すべての指令が、クレーン操作室(中央制御室)のホストコンピュータから各セクションの制御装置へサブコンピュータを通して伝達されます。各セクションからの情報もホストコンピュータに集められます。
②バッチャープラントで製造されたコンクリートは、トランスファーカに自動で積み込まれます。
③トランスファーカが自動的にバケット台車の位置を検知して、その中に納まったバケットにコンクリートを積み込みます。
④コンクリートバケットは自動的に起動し、正確な位置決めと制振を行いながら、打設場所へ移動し、振動を制御しながら自動的に放出します。
⑤コンクリートバケットは、コンクリート放出後GPSによって位置と振れを検知して、位置の補正と制振を行うことで正確にバケット台車に着缶します。さらに、学習機能により理論値と実際の動きの差を補正してその精度を向上させます。

工事実績

中木庭ダム
富郷ダム(1期、2期)および法皇湖