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解説

3次元コンクリート自動運搬システムで安全性を大幅に向上

中木庭ダムは、鹿島川水系・中川の佐賀県鹿島市大字山浦地先に、鹿島川総合開発の一環として建設された重力式コンクリートダムである。鹿島川流域は出水の度に水害が発生し、抜本的な治水対策が望まれていた。灌漑期における農業用水の確保、鹿島市の水道用水の安定供給も課題となっており、中木庭ダムの建設はこれらの問題の解決を目的としたものである。

左岸堤体基礎掘削工事では基礎岩盤上の崖錐が崩壊する恐れがあったため、法面保護工の設計変更を行って対応した。右岸部も掘削高さが170mに及び、ダム天端上部には10〜20mの切り立った柱状節理の岩盤が露頭したために難工事となった。掘削残土搬出は、林道、町道、工事用道路を利用して行ったが、生活道路でもあったため、無線を活用した運行ルールを作成して全作業員に徹底することにより、大きなトラブルもなく施工することができた。

ダム本体の工事で採用したダム用コンクリート自動運搬システム(3次元)は、軌索式ケーブルクレーンを用いて、あらかじめプログラミングされた打設手順に従って自動運転を行うものである。これにより、熟練技術者の負担の軽減、作業の安全性の向上が実現できた。

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