写真

解説

半径30mの急カーブに対応した連続ベルトコンベヤシステムを世界で初めて採用

清水第四トンネルは、新東名高速道路のうち、静岡県平山地区と伊佐布地区を結ぶ片側3車線のトンネルで、総延長は約2,530mである。車線を増やし道路を広くするために、トンネル掘削断面積は現東名・名神高速道路の2倍の約200㎡になっている。

施工では、大断面トンネルにおいて、急速施工、水抜き、地質確認などの利点があることから、直径5mのTBM(トンネル・ボーリング・マシーン)による先進導坑掘削工を採用。西側坑口部は地山が急峻で坑外でUターン場所が確保できず、地中内でUターン(半径30m)し、NATM工法による拡幅掘削へと移行した。

本工事で特筆すべきは、掘削土の搬出に、従来のズリ鋼車に代えて、ベルトコンベヤを採用したことである。導入にあたっての課題は、下り線から上り線への半径30mの急曲線部を連続ベルトコンベヤ化できるかどうかであった。当社はメーカーと共同で、急曲線対応型連続ベルトコンベヤシステムの開発に成功。従来方法に比べて、設備の設置スペースが少なくてすみ、作業の騒音や振動を大幅に低減した。掘削サイクルタイムの一定化、安全性の向上でも効果があり、最大日進48m、平均月進量356mを達成した。この試みは世界初であり、今後も急カーブのトンネルや大深度地下工事などへの適用が期待される。

工事期間は8年に及び、積極的に地元のイベントに参加して、地域の人々との交流を図った。清水市(現、静岡市)主催のレガッタ(ボート競技)には毎年参加。ホタルを卵から孵化させて飼育を行うことにも挑戦。3年目で大きな幼虫にまで育てることができ、地元の子どもたちを集めてホタルの飛翔会を行い、非常に喜ばれた。

地図