Q:舞台は数百万年前の世界という設定ですが、制作のポイントをお聞かせください。
A:火を使い始めた人類の祖先がいたのは、アフリカの辺りといわれています。なので目指したビジュアルのイメージは、アフリカの砂漠や草原、そういう場所ですね。冒頭で燃えている木や、ラストで佐藤さんが腰かけている木も、アフリカに生えていそうな灌木をイメージしながら、流木を組み立ててつくりました。
Q:CMの音楽は、このためにつくられたオリジナル楽曲だそうですね。
A:静かなところから何かがふつふつと湧き上がってくる、そんなイメージでつくってもらいました。Layupというアメリカのアーティストです。お願いするにあたって、僕のほうでたとえばの歌詞を書きました。佐藤さんの演技の話にも通じるのですが、人類は未来に向かっている、とにかく時代は進んでいる中で、僕らは進んでいかなきゃいけない、なんだかわからなくても行かなければいけない。そんな内容です。
Q:最後に、監督の考える「つくるを拓く」について、今後つくり手として拓いていきたい新しい挑戦や目標があれば教えていただけますか?
A:映像の現場ってそれぞれのスペシャリストが集まった大所帯でつくるんですが、今YouTuberとかインターネットの世界を中心に、お金をかけずに良いものがどんどん撮れるようになっています。そんな中で自分も何かできないかなと考えて、カメラも照明もぜんぶ自分でやる「一人でできちゃうパック」を構想しています。「こんなにちっちゃいセットで、こんなに面白いことができる」といった、予算の制約をセンスで切り抜けることをやってみたいなと。たとえばローアングルのドリー映像ってちゃんと撮ろうとすると大変なんですが、それを僕が電動スケボーに乗ってスマートフォンのカメラで撮っちゃうとか(笑)。ハイエンドなCGやレンズを使う仕事とは別に、日常でみんなが楽しむ映像はそういうつくり方もあっていいのかなと思っています。