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#04 TAKESHI TAKADA VFX Producer

INTERVIEW #04 TAKESHI TAKADA
VFX Producer

Q:高田さんにはCMに登場する原始人のCGを制作いただきました。まずはAltという会社についてお聞かせいただけますか?

A:Altは2011年にオーストラリア・ブリスベンで立ち上げた会社です。当初はCGを使ったビジュアルエフェクトに特化したチームでしたが、現在はVR/ARコンテンツも制作しています。MAKE BEYONDじゃないですが、僕らも時代の移り変わりを見据えて、アクションを起こしていくよう心がけています。今回のような夢のある企画に携わらせてもらったことは、会社としてもとてもエキサイティングでした。

Q:原始人のCGをつくるにあたって意識されたことはありますか?

A:「いま存在しないものをつくる」という特殊な仕事でした。文献などの資料はあっても、直接参考になるものはない。監修の馬場先生や井口監督と議論・検証を重ねながら、誰も見たことのないホモ・ハビリスを形にしていきました。CG制作でいちばん重要なのはスタートです。何をつくるかというビジュアルの目標を明確化すること。そこにブレがないこと。私たちがモデリングをするときは、完成図を見越したつくり方をしなければいけません。今回は最初の段階にとことん議論したことで、チームの中で完成図がしっかり見えていた、ビジョンが共有できていたのが、うまくいった要因のひとつだと思います。

Q:一般にCGの制作というのはどういう流れで進むのでしょうか?

A:CGのモデリングは、いくつかのフェーズに分かれています。最初に全体を造形して、そこから細かいディテールをつくっていく。彫刻と一緒ですね。また、つくっただけだと動かないので、リギングといって、動く骨組みを入れていく作業があります。今回の原始人では、やはり毛並みの難易度が高かったです。どこまでの汚れ具合にするか、原始人特有のワイルドな部分まで細かく再現していくことを意識しました。

Q:ほかにも難しかった点やチャレンジだった点はありましたか?

A:佐藤健さんとの絡みがある中で、本当にその場に原始人がいるというリアリティをどうつくるかはチャレンジでした。アニメーターが一番こだわったのは、アップの表情ですね。ここで歯を食いしばる、そうすると顔が引きつる。やりとりの間や、目線の動き。「人間ってこういう表情するよね」という共感や納得感が生まれるように、細かな動きの一つひとつをつくっていきました。

Q:オーストラリアを拠点とされていますが、日本と海外のものづくりに違いを感じることはありますか?

A:人の行き来が日本より活発なので、新しい血が流れやすい、シナジーが起きやすいということはありますね。ただ、日本かオーストラリアかというよりも、企業としてのカラーを明確に出せるかが重要だと思っています。僕らはブリスベン、シドニー、メルボルン、ロサンゼルス、東京の5ヵ所にオフィスがありますが、みんながつくることに興味があって、みんながナンバーワンを目指している。同じミッションを共有できている。そうすることで、優秀なアーティストやプロデューサーも集まりやすくなるんです。

Q:最後に、高田さんの考える「つくるを拓く」について、今後拓いていきたい新しい挑戦や目標はありますか?

A:経営者としては、この業界がもっと豊かになってほしい、盛り上がってほしいと思います。そのために僕ももっと発信していきたいし、人を育てたり仕事をつくったり、そうやって次の世代のチャンスを増やしていきたいですね。あと僕の祖父は、一人はゼネコン、一人は建築家として、二人とも東京タワーの建設に携わっているんです。幼いながらに「これに携わったんだ」と言えるのに憧れて、僕もこういう残す仕事がしたいなと思いました。今自分には子どもが3人いるのですが、今回の企画のように「お父さんはこんなすごいマジックみたいな仕事をしているんだ」と言ってもらえる仕事に今後も携われるよう頑張っていきたいですね。

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