全体図
解説
国内初、24時間運用の国際空港のメイン施設
1994年9月4日、関西国際空港は、わが国初の24時間運用の国際空港として開港した。当社は、同空港のメイン施設である旅客ターミナルビルを、他社と共同で施工した。当時、日本の建設市場開放が求められていた中での工事であり、共同企業体にはフルーア・ダニエル(アメリカ)が構成会社に参画、資材でも鉄骨・外装材の一部をイギリス・アメリカ・フランスから調達するなど、国際色豊かなプロジェクトであった。
旅客ターミナルビルは、国際線・国内線ターミナルを上下に重ねた本館と南北にのびるウィングで構成され、旅客は本館と各ウィングの間を結ぶウィングシャトル(新交通システムAGT)で各ゲートに移動する形式をとっている。ターミナルビルは、本館を中心にウィングが羽を広げた形状で、南北約1,700m、東西150mの広大なものである。施設の最大の問題は、埋め立てたばかりの地盤に起因する不同沈下であった。そのため、すべての柱にはジャッキが設置されており、将来にわたって沈下を計測して建物全体をジャッキアップする構造となっている。さらにウィングの中心である本館部分では、基礎の下に土の2倍の比重を有する鉄鉱石(厚さ2.5m)を敷き、建物の荷重とのバランスをとる対策が施されている。
施工上の難関は、施工中にも進む不同沈下と、美しいが施工が難しいデザインのほか、人と資機材(飲料水、工事用水を含む)のすべてが海上輸送という、海上空港ならではの施工条件であった。
不同沈下は着工当初は7〜8cm/月に達し、コンピュータによる不同沈下修正のための総合システム「USERS」を開発して対応し、施工中もジャッキを使って建物のレベル修正を行った。
開港後の1999年、関西国際空港は2期工事(約545ha)に着工、2007年には第2滑走路(4,000m)をオープンした。
1994年安全衛生労働大臣表彰(優良賞)(無災害記録540万時間)、第37回BCS賞(特別賞)(1996年)、日本建築学会賞(1995年)の各賞を受賞した。
当社は、関西国際空港工事及び関連工事について、第1期工事以来数々の工事に携わってきたが、その主要なものは上図および下記の通りである。